毎週日曜の朝に「NHK俳句」という番組が放映されています。これまでも時々見てはいたのですが、私も番組に合わせて、下手でも一句ずつ作ろうかと思うようになりました。できるだけ続けていこうと思います。

 

今週の兼題は「春灯」でした。春の灯は、何か人の目には潤んで見えます。冬の間の冷たく固い感覚を起こさせる空気が、春になって全体的に暖められて、人も含めた万物に柔らかさを与えてくれることで、灯も何かしら潤んで見えるようになるんでしょうね。最近は花粉症のために春の灯が潤んで見えてしまうかも知れません。

 

 春灯のともる静寂や大伽藍

 (しゅんとうの ともるしじまや だいがらん)

 

この句は、京都の東本願寺や西本願寺を訪ねた時の記憶を使って詠みました。東西の本願寺は、おそらく京都の修学旅行で定番の寺院だと思いますが、なぜかわたしはその記憶がないんです。それで、意識して最近、国内旅行として訪ねてみました。実はこれも、最初から東西本願寺を目的にしていた訳でなく、ちょっと時間があったので、朝の散歩代わりに歩いていて、たまたま寄ってみたら本願寺の大伽藍に随分と驚かされてしまったという訳です。

あの大伽藍の中で作り出される静寂は何か特別で、他にはなく、あそこにしか存在しない静かさで...そう、歴史の重みと深さをもった静寂なのです。なので、訪れたことがある方には分かると思うのですが、あそこは修学旅行で行くよりは、歳とって人生の喜怒哀楽を味わい切った後に訪れるのがよいでしょう。春は、灯された炎が静寂に潤いを加えてくれて、特に“怒”や“哀”で傷ついた心をきっと安らかしめてくれると思います。

 



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