毎週日曜の朝に「NHK俳句」という番組が放映されています。これまでも時々見てはいたのですが、私も番組に合わせて、下手でも一句ずつ作ろうかと思うようになりました。できるだけ続けていこうと思います。

 

本日は「俳句さく咲く」の放映でした。兼題は「陽炎」で、テーマは“自分自身を詠む”でした。暖かくなると、風が吹かないよく晴れた日に、遠くの風景がゆらゆらと揺れて見える気象現象です。太陽の光で暖められた空気が上昇し、その下に冷たい空気が入ることによって光線が屈折し、それで不規則に揺らいで見える訳です。海で見える蜃気楼や、高速道路でよく見ることのある逃げ水と同じ種類のものですね。

 

 陽炎ひて廃線鉄路立ち昇る

 (かげろひて はいせんてつろ たちのぼる)

 

季節的にはもう少し夏が近づいた頃でしょうか。レールの延びて行く先をずっと目で追って行くと、これまで冬の寒さに凍てついて鉄が春の日差しに暖められて、レールの最も先端で見えなくなった辺りで、陽炎とともに空に立ち昇るように見えます。あまり熱心に見続けていると、列車がやって来るかも知れないので、わたしの田舎の鉄道のように1時間に1本か2本程度のローカル線がお勧めです。

 そのレールが廃線となって列車が通らなくなってしまった鉄道のものであれば、暖かな春が来るとともに、昔、列車が走っていた頃、人や物やそれと一緒に文化や風俗も都会から運んで来ていた往時が再来するかのような景色を、陽炎が演出してくれるようです。

鉄道のレールは、田舎と都会を結ぶ全ての道でした。わたしは毎日、通学で鉄道を使いながら、そうして夢や憧れを抱いて都会へと上京したのでした。ちなみに、わたしの場合は鉄道ではなくバスと船でしたが...でも、やっぱり鉄道のガタンガタンというリズムのほうが、故郷を離れる時の哀愁寂や郷愁を誘います。そして今度は、いつかはまた同じ道を通って故郷へ帰って行くのですね。

 

 

“かげろう”と聞くと、蜻蛉のほうを先に思い浮かべてしまいます。見た目にも弱々しく、羽化しても直ぐに死んでしまうため、儚いものの例えとされています。陽炎もゆらゆらとした捉えどころないところが、寄る辺ない身の上の人には儚く感じて来るものがあります。長く生きていると、この儚さを身に染みて感じるようになります。やはり、昔憧れてじっと見つめていたレールの先にあったものは陽炎だったのかも知れません。

 



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