昨今、「ブラックバイト」という言葉が話題になっています。アルバイトする学生が、劣悪な労働環境や労働条件によって本来の学業に取り組むことができないという現状が社会問題となっています。そもそもブラック企業と呼ばれる会社が存在していることが問題ですが、その背景には我が国の経済状況だけでなく、高齢・少子化の人口構造の課題も関係しています。
根絶は不可能ではあっても、学生アルバイト側の自己防衛策や、企業側への是正や啓発活動など様々な方法で少しでも解決して行く必要があります。
厚労省では労働条件に関する総合情報サイトを立ち上げており、その中で「確かめよう 労働条件」として学生アルバイトも含めた労働条件の確認に関する情報や資料が掲載されていますので、紹介します。
今回は、法令に違反するおそれがある事項、その他についての自主点検です。
2.労働基準関係法令に違反するおそれがある事項
<労働時間>
(15)タイムカード等の客観的な記録から確認するなどにより、実際に働いた時間を適正に把握していますか。
⇒ 使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認・記録し、これを基に 何時間働いたかを把握・確定する必要があります。
(16)準備や片付けの時間(学習塾等の場合、授業以外に行う質問対応、報告書の作成等に要した時間)を労働時間としていますか。
⇒ 始業時刻前に行う準備や終業時刻後の後始末、掃除等は、使用者の明示又は黙示の指揮命令下に行われている場合 には、労働時間となります。
<賃金>
(17)賃金を一方的に引き下げていませんか。
⇒ 労働契約において定められている賃金などの労働条件について、それを一方的に引き下げるなど、労働者の同意なく、労働者の不利益となる内容に労働条件を変更することはできません。
<健康診断>
(18)1年以内ごとに1回、定期に健康診断を実施していますか。
⇒ アルバイトでも、以下の要件のいずれにも該当する場合は、1年以内ごとに1回、定期に健康診断を実施する必要があります。
3.学業とアルバイトの両立のために特に配慮が必要な事項
<解雇、退職>
(19)アルバイトが退職を申し入れているにもかかわらず、人手不足等を理由に、継続して働くことを強要していませんか。
⇒ 労働者は、原則として会社を退職することをいつでも申し入れることができます。あらかじめ契約期間が定められていないときは、民法の規定では、労働者は退職届を提出するなど退職の申入れをすれば、2週間経てば辞めることができます。
<シフト>
(20)相手の同意を得ることなく、一方的にシフトの決定・変更を行っていませんか。
⇒ 勤務日や勤務時間については、労働条件通知書等によりあらかじめ労働者に通知する必要があります。
(21)試験の準備期間や試験期間中などに、学生の希望に反してシフトを入れていませんか。
⇒ 試験の準備期間や試験期間中など、学生が学業に時間を割く必要がある際は、本人の意向を確認の上、できるだけシフト設定に当たり配慮することが必要です。
わたしは学生時代、家庭教師のアルバイトをしたことがありました。塾・家庭教師のアルバイトは、時給が高く、肉体労働でもない「美味しい」アルバイトでしたが、最近は個別指導塾の広がりなどに伴い、時給計算ではさほど高いものではなくなっているのだそうです。更に、授業時間帯の前後の準備や報告書作成などには賃金が支払われない場合が多いそうで、学生さんにとっては増々条件が悪くなっているんですね。これからの我が国を背負って立つ人材ですので、もっと優遇できないものでしょうか。