昨今、「ブラックバイト」という言葉が話題になっています。アルバイトする学生が、劣悪な労働環境や労働条件によって本来の学業に取り組むことができないという現状が社会問題となっています。そもそもブラック企業と呼ばれる会社が存在していることが問題ですが、その背景には我が国の経済状況だけでなく、高齢・少子化の人口構造の課題も関係しています。

根絶は不可能ではあっても、学生アルバイト側の自己防衛策や、企業側への是正や啓発活動など様々な方法で少しでも解決して行く必要があります。

厚労省では労働条件に関する総合情報サイトを立ち上げており、その中で「確かめよう 労働条件」として学生アルバイトも含めた労働条件の確認に関する情報や資料が掲載されていますので、紹介します。

今回は学生アルバイトを雇う会社側の自主点検表です。

  

 確かめよう 労働条件  - 自主点検表


自主点検表_1

自主点検表_2
 

 

1.労働基準関係法令に違反する事項

<労働条件の明示>

(1)アルバイトを雇い入れる際、賃金や労働時間などの労働条件を記載した書面を交付していますか。

⇒ アルバイトを雇い入れる場合、労働契約締結時に、賃金、労働時間などの労働条件を必ず明示する必要があります。更に、特に重要な次の6項目については、書面を交付する必要があります。

<就業規則>

(2)アルバイトを含め、常時10人以上の労働者を使用する場合、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出ていますか。

⇒ アルバイトを含め、常時10人以上の労働者を使用する場合は、就業規則を作成し、労働者代表の意見書を添えて所轄の労働基準監督署長へ届け出る必要があります。

(3)就業規則をアルバイトに周知していますか。

⇒ 就業規則は、作業場の見やすい場所に常時掲示するか備え付ける、労働者に配付するなどの方法により、アルバイトを含む労働者に周知する必要があります。

<労働時間>

(4)所定の労働時間は、週40時間、18時間以内となっていますか。

⇒ 法定労働時間の原則は、週40時間、18時間以内と定められており、所定の労働時間(シフト時間)は、法定労働時間以内に設定する必要があります。

 

(5)アルバイトに法定労働時間を超えて労働をさせる場合、時間外労働・休日労働に関する協定(いわゆる36協定)を 締結し、所轄の労働基準監督署長に届け出ていますか。

⇒ アルバイトに法定労働時間を超えて労働(時間外労働)させる場合や法定休日に労働させる場合には、労働者代表との間で、あらかじめ時間外労働・休日労働に関する協定(いわゆる36協定)を締結し、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。

<休憩・休日、年次有給休暇>

(6)1日の労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも1時間以上の休憩を、労働時間の途中に与えていますか。

1日の労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩を、労働時間の途中に与える必要があります。また、原則として、労働時間の途中で一斉に与え、かつ自由に利用 させる必要があります。

(7)少なくとも週1日もしくは4週に4日以上の休日を与えていますか。

⇒ 毎週少なくとも1日、あるいは4週間を通じて4日以上の休日を与える必要があります。

(8)アルバイトに、勤務日数に応じて年次有給休暇を付与していますか。

⇒ 雇入れの日から6カ月間継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、最低10日の年次有給休暇を付与する必要があります。

<賃金>

(9)賃金は、毎月、決まった支払日に、その全額を支払っていますか。

⇒ 賃金は、①通貨で、②直接労働者に、③全額を、④毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。なお、労働者の同意など一定の条件を満たせば、銀行口座等への振込による支払も可能です。

(10)都道府県ごとに定められている最低賃金額以上の額を支払っていますか。

⇒ 最低賃金法によって、賃金の最低限度額が定められています。 最低賃金は都道府県ごとに定められています。

(11)規律違反やミスをしたことを理由に、就業規則に記載なく罰金等を課していませんか。

⇒ 労働者が規律違反をしたことを理由に、制裁として、賃金の一部を減額する(減給)場合には、あらかじめ就業規則で定めておく必要があります。

<割増賃金>

(12)週40時間、18時間を超えた時間外労働については、通常の賃金の25%以上、休日労働については、通常の賃金の35%以上の割増賃金を支払っていますか。

(13)午後10時から午前5時までの深夜労働については、通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払っていますか。

⇒ アルバイトも含め、18時間または週40時間を超えて労働させた場合や、深夜(午後10時~午前5時)に労働さ せた場合には25%以上、法定休日に労働させた場合には35%以上の割増賃金を支払わなければなりません。

<解雇、退職>

(14)解雇する場合、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(いわゆる解雇予告手当)を支払っていますか。

⇒ 労働者を解雇する場合には、原則として少なくとも30日以上前に予告する必要があります。予告しない場合は、30日分以上の平均賃金(いわゆる解雇予告手当)を支払わなければなりません。



 

次回は、法令に違反するおそれがある事項、その他についてまとめます。

 

 








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