『月刊社労士 201512月号』(発行:社会保険労務士会連合会)より

 

発達障害は小学校低学年で発症するため、子供だけの診断に限定されがちですが、大人にも発達障害はあります。発達障害の概念が一般に浸透するにつれ、自分は発達障害ではないか、と診断を求めて精神科を受診する人が現れて来ました。大人の発達障害の診断を希望するのは、自分の抱える不便さ、不自由、苦痛の根源のためであり、その先には、治療というより相談や援助があるとされているそうです。

わたしは今回初めて耳にしましたが、うつなどの精神面の疾病、メンタルヘルスに関係するところも多々あると思い、今回の解説記事をまとめてみました。

今回は、障害年金、労災認定についてです。

 

6.障害年金

発達障害者支援法を受けて平成23年に登場した認定基準は

たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行う

と定めて、次のような発達障害者の障害認定の基準を定めています。

 1級:社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの

 2級:社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

 3級:社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの

 

7.労災認定

脆弱性を持った平均的労働者にストレスが加わった時に発症するのと同じく認定することが確認されています。よって、「職場の心理的負荷評価表」で心理的負荷が「強」と判断された場合は、うつ病等の発症原因が本人の脆弱性にあるということを証明できない限りは、業務上と認定されることになります。

 

 

大人の発達障害は、発達障害者支援法による法的定義づけがなされたとはいえ、未だ医学的にも統一されておらず曖昧な概念であると言った状況です。平成284月から、改正障害者雇用促進法によって使用者の“合理的配慮の提供”が義務付けられるそうです。発達障害者を含む障害者への具体的な配慮が求められることになります。

何よりもわたしたち社労士が、発達障害に関する基礎的な知識を得ようと努力しなければならないですね。

 

 

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