毎週日曜の朝に「NHK俳句」という番組が放映されています。これまでも時々見てはいたのですが、私も番組に合わせて、下手でも一句ずつ作ろうかと思うようになりました。できるだけ続けていこうと思います。

 

本年最初の放映は、お正月番組の影響で、16日の水曜日となりました。今週の兼題は「去年今年」です。もう先週のこととなりましたが、大晦日は一夜にして去年と今年が入れ替わります。過ぎ去った年を振り返り、年を惜しむとともに新しい年を喜び、これからの一年へ期待を込めた季語で、結構語呂がよく、発音しても調子が整う言葉です。

 

 母の手に裁ち鋏あり去年今年

 (ははのてに たちばさみあり こぞことし)

 

大晦日は365日に1回しかやって来ない特別の一夜ではありますが、呼び方を除けばそれは何も変わらない夜であって、時間は昨年から今年にずっと続いて流れている訳ですから、何とも説明し辛い事象のようにも感じてしまいます。結局は迎える人の気持ち次第で、どれくらいの切り替えをするかにかかって来ます。では、わたしはこれまでどんなお正月を迎えていたかな、と記憶を辿っていると、母親の姿が思い浮かんで来ました。昔は、現代と違って女性の社会活躍云々とかの風潮とは縁遠い世の中でしたから、外に出て働いてはいないけれど、家計の足しにと洋裁の内職をしていました。日当たりのよい窓際に洋裁用の台を置いて、家事の合間に女性用のいろんな服を手で縫っていました(男性用の縫製はもっと高い技量を持った人しかやらせてもらえない、というような話を聞かされたことをぼんやり覚えています)。洋裁で、耳から覚えているのが、大きな裁ち鋏でざくざくと布を型紙に沿って切っていた音です。子供の視線からだと、毎日時間があるとこの内職をせっせとやっていた母親の姿が印象強く残っているのですが、お正月も休まずやっていたのかどうか...はっきりとは思い出せないのですが、やっていたような気がするのです。

区切りがあるようでないようなお正月のあの時、母親はどんな気持ちで裁ち鋏を手にしていたのかなあ、と当時の様子を思い浮かべながら考え込んでしまいます。続いてほしいものもあったし、ざっくりと切ってしまいたいものもあったのかなぁ、と。当時の裁ち鋏は、もう捨ててしまったのか、それともどこかに仕舞われているのか、いつの間にか実家では目にしなくなりました。

 

母親が洋裁をしていたせいで、学校で雑巾が要る時はすぐに縫ってくれました。今は、それ用に商品として売っているんですね。わたしの場合、トラウマと言っていいのかどうか、何故か商品として置いてある雑巾の束を見ても買おうという気持ちにならないのです。

 



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