最近読んだ本  - 宮部みゆき 「魔術はささやく」 -

 

今回読んだ本は、宮部みゆきさんの「魔術はささやく」です。今度何を読もうかと迷っていたとき、超能力者の高校生が出てくる宮部みゆきさんの作品「龍は眠る」の書評を目にしたので(超能力という言葉にはどうしても反応してしまいます...「七瀬ふたたび 」とか)、そそくさとブックオフに行ったのですが、残念ながら売ってなかったので代わりに「魔術はささやく」を選んでみました(こういうところが古本屋のいいところ?)。


魔術はささやく (新潮文庫)/宮部 みゆき
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魔術はささやく (宮部みゆきアーリーコレクション)/宮部 みゆき
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3人の女性が次々と死亡しました。1人目はマンションの屋上から飛び降り、2人目は地下鉄に飛び込み、3人目はタクシーの前に飛び出して。それぞれは新聞の社会面でありふれた事故だったのですが、タクシー運転手の甥である高校生の守は3つの事故の関連性を発見し、そして第4の犯行が行われようとしていることに気づきます。

犯人探しやミステリーのように話が進んで行きますが、その過程では守の辛い過去の記憶が巧みに絡められており、守がこの事件を通して悩み、葛藤し、そして最後にそれらの試練を乗り越えて行くという、少年の成長を描いた作品です。

 

読み進んで、ローレルという書店に設置した大型モニターの宣伝用ビデオのくだりに来たとき、“あっ、これ、サブリミナル効果を利用したものだな”とひらめいて、我ながら勘がよいなぁなどと独り悦に入っていたのですが、この作品は昨夏にフジテレビでドラマ化されていたのですね。読み終えた後、ネットで検索して、そういえばと気がつきました。見るつもりはなかったのに、ちらちらと目にしていたので、それでこんなことになってしまったのか...と、これが本当のサブリミナル効果かな?

原作とドラマは登場人物やあらすじが少し異なっているようで、それで読み終わるまで気がつかなかったのでしょう。ドラマのほうは、犯人が誰か最後まで見ていませんでしたし...

この作品のテーマから外れるのですが、この本を読んでいて、「ウラ本」とか「ワープロ」とか今ではお目にかかれない、言い換えると昔のレトロなものが出てくるのに驚きました。主人公である高校生の守が公衆電話をよく使っているのも、今ではもう携帯が当たり前です。この本の刊行された時期を見たら、平成元年となっていたので納得しましたが、この頃から宮部さんはサブリミナル効果をミステリーの題材に使っていたのですね。

 

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