開業への道(10) - 受託業務を進めるにあたっての留意点 ① - 

 

「開業への道」という題名で、開業に必要な事務所開設の準備とその運営方法、委託契約の締結や業務を進める上での留意点などに関して連載中です。参考資料は、東京社会保険労務士会にて開催された開業準備講座に参加した際に副読本の資料としていただいた『事務所開設と運営マニュアル』です。この連載ものが終わる頃には、自らの開業への決心がつけるようにがんばります。

今回からは、受託業務をすすめるにあたっての留意点についてまとめます。

 

Ⅴ.受託業務を進めるに当たっての留意点

1.労働・社会保険適用状況等

仕事を依頼されたときに先ず最初に行うべきことは、その事業所が労働社会保険諸法令の当然適用事業所であるかどうかを確認・判断することだそうです。また、労働者名簿賃金台帳も調製されているか確認します。

それから、特殊健康診断は言うに及ばず、普通の健康診断さえ行われていない事業所も多いのだそうです。

一般に社会保険労務士に仕事を依頼する企業は規模が小さく事務組織を持たないところが多いので、思いやりのある親切な指導が望まれます。従業員の面前で、事業主に対して義務の不履行や法違反の事実を指摘するようなことは絶対に避けなければならないとのこと。場所に応じて言動には注意が必要ですね。

 

2.台帳の作成と備え付け

1・2号業務を包括受託する場合に、正確かつ迅速に事務処理を行うにために備え付けておくべき台帳としては事業所台帳と被保険者台帳があります。

「事業所台帳」

 所在地、名称、電話番号、事業主の氏名、事業の種類、 設立年月日、資本金、従業員数など

「被保険者台帳」

 適用年月日、記号番号、氏名、生年月日、性別、資格取得年月日、標準報酬など

 

これらの台帳を備え付けないで、手続のたびに受託事業所に問い合わせるようでは、事務処理能力を疑われ、信用を失墜しかねないことになりますので、非常に重要な台帳ですね。これらの基本台帳は届出書類等に基づいて作成することになりますが、これらの書類が分散・紛失しているようなときは行政機関に窓口に出向いてその旨を伝え、了解を得て原簿と照合し補正しておくべきとのことです。

 

次回は受託業務で行うであろう労務診断についてまとめます。

 

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