開業への道(9) - 委託契約の締結 ③ -
「開業への道」という題名で、開業に必要な事務所開設の準備とその運営方法、委託契約の締結や業務を進める上での留意点などに関して連載中です。参考資料は、東京社会保険労務士会にて開催された開業準備講座に参加した際に副読本の資料としていただいた『事務所開設と運営マニュアル』です。この連載ものが終わる頃には、自らの開業への決心がつけるようにがんばります。
今回は「委託契約の締結」の最終回として、契約書作成にあたっての留意点をまとめます。
5.委任契約書作成にあたっての留意点
(1)報酬の種類
①顧問報酬
②手続報酬
③人事・労務管理報酬
④相談・立会等報酬
⑤旅費・日当・宿泊費
⑥給与計算事務
整理すると上記の6つになるのですね。この中で、②手続業務が書類の作成及び提出の事務を一時的に受託した場合に受ける報酬に当ります。
(2)報酬の額
やはりトラブルが起こりやすいのは報酬の額に関してであり、例えば以下のようなところに注意する必要があります。
①年1回の業務
顧問報酬の場合は、「健康保険・厚生年金保健報酬月額算定基礎届」「労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書」の作成に関する報酬が含まれているか否かを明確にしておくこと。顧問先は通常、1年間分の費用を試算して予算組みを行っている場合が多い。
②被保険者数
1・2号業務は被保険者数によって業務量が変わってくるので、被保険者数が増減した場合の契約額の見直しについて明記する必要がある。
③労働者の異動
入社や退社が多い場合も被保険者資格の得喪の手続きが増えるので、例えば暫定的に3カ月、6カ月とかの期間を区切って仮の顧問報酬を設定し、その後協議の上で再決定する方法がある。
④消費税、源泉所得税の明示
例えば20,000円の顧問報酬(税別)の場合、消費税(5%)1,000円が加算され、源泉所得税(10%)2,000円が控除される。
源泉所得税は顧問報酬の10%なんですね。開業して独立すると税金の問題が直接関係してきます。当たり前ですけど、その分も考えて契約を交わさないといけませんね。