『会報 2011年1月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

障害年金 重複障害における併合等の問題点 (2)

 

東京都社会保険労務士会の会報 2011年1月号に障害年金の特集がありました。これまでにも会報では4回、障害年金の特集が組まれていますが、1月号ではポリオ後症候群に関する併合等認定の問題点がまとめられています。今回はその要旨紹介の2回目として、併合等認定の問題点についてです。

 

3.併合等認定基準

ポリオ後症候群がポリオと別疾病の取り扱いとなり、裁定請求の道が開けましたが、反面、併合等認定基準に留意する必要が出てきます。ポリオ後症候群の全ての方が、ポリオとポリオ後症候群の2つの疾病を持つ重複障害になります。

①併合認定

障害認定日に2つ以上の対象となる障害がある場合と、「はじめて2級」による支給すべき事由が生じた場合。

②加重認定

障害年金受給権者に、さらに障害年金を支給すべき事由が生じた場合。

③総合認定

内科的疾患の併存している場合および障害等認定基準の認定要領において特に定めている場合は総合的に認定する。

④差引認定

障害認定の対象とならない障害(前発障害)と同一部位に新たな障害(後発障害)が加わった場合は、現在の障害の程度から前発障害の程度を差し引いて認定する。

 

ポリオと同一部位にポリオ後症候群が発症した場合、ポリオで障害基礎年金受給中であればその等級における障害状態に程度を差し引いて認定されることになります(差引認定)。例えば、1級(歩行不能、車椅子使用)の方が、差引認定により3級とされてしまい、これよりも軽度の2級(杖や補装具により歩行可能)の方と逆転するというおかしな事態になります。

 

4.差引認定の妥当性

差引認定は併合判定参考表により計算しますが、この表には上肢、下肢、指を欠くような項目が多く、その不合理性も指摘されています。ポリオ後症候群も多くの方が差引認定により3級とされていましたが、現在では審査請求において1級と認められ、審査請求自体が取り下げられるなど、明るい光が見え始めているそうです。

 

併合認定や加重認定はよく試験勉強した記憶があるのですが、差引認定についてはちょっと...もう一度見直しておかないといけないですね。

 

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