3回(1月)中央支部例会より

 

雇用保険 - 改正雇用保険法に係わる2年超遡及の実務(その2)

 

先日、所属している中央支部の例会に出席して来ました。その際、特別研修会として、昨年10月に改正された雇用保険の2年超遡及の事務取扱に関する留意点などについて実務的なポイント解説が行われましたので、要点をまとめてみました。

 今回は後半として、不利益にならないよう注意すべき給付関係事務についてです。

 

5.給付関係事務

(1)支給決定済みの者

失業等給付が支給されている場合は2年超遡及により給付内容が不利益に変わる場合もあります。届出書類がハローワークから返却されますので、社労士としては事業主に十分に説明を行ってください。具体的な留意点は以下のとおりです。

基本手当

所定給付日数が増加しても、実際に受給できる日数は受給期間の範囲内にあるものが支給対象になります。増加分全てを受給できるとは限りません。

就業促進手当

所定給付日数が増加したことによって、常用就職支度手当の支給要件を満たさなくなる場合があります。再就職手当に切り替えて申請することも可能ですが、手続き中に申請期限を過ぎてしまうと切り替えできなくなりますので注意が必要です。

個別延長給付

変更した所定給付日数に基づく変更後の最終の失業認定日が既に経過している場合は、個別延長給付の可否判断ができないため、個別延長給付の支給は行われません。当初90日、延長60日の合計150日の給付だったものが、当初120日のみとなり、30日分短縮というようなこともあります。

高年齢雇用継続給付

2年超遡及適用により60歳到達時等賃金登録の時点が変更になる場合は、改めて賃金月額を算定した上で、既支給分に係わる回収または追給を行うことになります。また、消滅時効との関係から、2年以内にあるものが回収または追給の対象となります。賃金月額が下がってしまうと既受給分を回収されてしまいます。

 

(2)支給未決定の者

2年超遡及適用により支給要件を満たすことになる場合として、次のケースは比較的多く生じると思われますので留意すべきです。

 ・高年齢雇用継続基本給付金については、受給資格要件が5年以上の被保険者期間となっていますので、2年超遡及で支給可能となる場合があります。

 ・教育訓練給付については、受給資格要件が3年以上の被保険者期間(初回受給は1年)となっていますので、2年超遡及で支給可能となる場合があります。

 

どちらも申請期限の範囲内で申請することが必要となります。2年超遡及適用により支給要件を満たすこととなっても、申請処理(行政側も含めて)に時間がかかってしまい、申請期限を過ぎてしまうと支給は行われません。これは、被保険者または被保険者であった者はいつでも被保険者の確認ができるとされているから、とのことですが、ちょっと引っかかりました。

 

単純に2年超の被保険者資格の遡及適用だと受け止めていたのですが、奥は相当に深いですね。勉強になりました。

 

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