3回(1月)中央支部例会より

 

雇用保険 - 改正雇用保険法に係わる2年超遡及の実務(その1)

 

先日、所属している中央支部の例会に出席して来ました。その際、特別研修会として、昨年10月に改正された雇用保険の2年超遡及の事務取扱に関する留意点などについて実務的なポイント解説がありましたので、要点をまとめてみました。

 

1.制度概要

被保険者となったことのある確認があった日の2年前の日より前に、雇用保険料が賃金から控除されていたことが給与明細等により明らかである場合は、被保険者資格が遡及して適用されます(2年超遡及)。給与明細等としては、原則として給与明細、賃金台帳(写し)、所得税源泉徴収票のいずれかになります。

なお、当該者の給付に影響がない期間については、確認は行われません。ハローワークへ届出を行っても受付されません(棄却)。

 

2.事務取扱

そのため、社労士は事業主から届出の依頼があっても2年超遡及を行わない旨の説明が必要な場合があります。例えば、

 ・受給できる基本手当の給付日数に変更がない場合。

 ・2年超遡及の影響を受ける給付が、その申請期限を過ぎてしまっている場合。

などです。また、2年超遡及により給付内容が不利益に変わる場合もあります。その場合はハローワークより届出書類が返却されますので、社労士は事業主へ説明しなければなりません。そして、説明済みである旨を聴取書・疎明書(ハローワークに用紙あり)に記載します。

 

3.留意点

(1)施行日との関係

この改正については、離職日が施行日(平成22年10月1日)以後である者に適用されます。従来の2年以内遡及については施行日に関係なく適用できます。

(2)2年前の日を跨ぐ期間の確認

従来の2年以内遡及の被保険者の資格の確認と、2年超遡及の被保険者であった期間の確認を合わせて行う必要があります。

 

4.特別納付保険料

2年超遡及に係わる事業主が保険関係成立の届出を行っていなかった場合は、保険料が納付されていないにもかかわらず失業等給付が支給されることになるため、徴収時効である2年経過後でも保険料を納付できることとされています。厚労大臣は納付勧奨を行うことになっています。この特別納付保険料の納付勧奨は、ハローワークから事業主に電話や訪問などで定期的・継続的に行われることになりますので、社労士としても十分注意が必要です。

 

長くなったので、今回はここまでとします。次回は給付関係事務で不利益にならないよう注意すべき点をまとめます。

 

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