健康保険 - 医療保険のひみつ(9) - 現物給付と現金給付

 

5月に「定年退職後の医療保険」と題して、定年退職を迎えようとしている高年齢者の方に向けて医療保険の選択方法について連載しましたがその際、自分自身で医療保険のことを理解し切っていないと感じました。今回ブログに連載しながら再度自らも勉強中です。

 

9.現物給付は患者の負担を軽減してくれます

現金給付の年金に比べると、現物給付は馴染みがないのですが、これが医療保険の特徴であり、患者となった場合の負担を軽減してくれています。

 

(1)現物給付と現金給付

医療保険では、現物給付としての医療サービスと現金給付の2種類があります。介護保険は原則として現金給付はありません。年金は現金給付のみです。

医療サービスが現物給付ではなく現金給付であった場合、どうなるでしょうか。患者として先ず医療機関へ医療費全額を支払います。次に保険者へかかった費用を請求し(現金)給付を受けます。現物給付では、医療機関へ自己負担分の医療費を支払うだけで済みますので、現金給付だと二重の手間がかかるというわけです。

金額面でも、いったんは全額負担しなければならないのは家計への負担も重くなります。医療費は金額も高く、また突然に必要となるものですから、現物給付はとても助かる制度と言えます。

 

(2)健康保険と国民健康保険の給付の違い

健康保険の給付は大きく分けると、「医療給付」と「現金給付」に分けられるようです。

●医療給付

 「療養の給付・訪問看護療養費」「入院時食事療養費」「入院時生活療養費」「高額療養費」

●現金給付

 「出産育児一時金」「葬祭費・埋葬料」「傷病手当金」「出産手当金」

 

国民健康保険では現金給付の「傷病手当金」「出産手当金」は任意扱いになっており、実際には実施している市町村はないそうです。給付の内容が、働けない期間の給与相当の支給という性格のせいでしょうか。