事務指定講習 事例23

事務指定講習の再研究です。ただし内容は私の受けた平成20年のものなのでご注意願います。

 

事例23

渡辺清司さんは会社(株式会社)を退職し、減額調整された障害補償年金(第3級)を受けていましたが、○年12月に死亡しました。

これまでの3年間に支給された年金額は、7,350,000円です。遺族は妻(民代)1人です。

 

必要となる手続き

 ・労災 年金等受給権者死亡届

 ・労災 障害補償年金差額一時金支給請求書

 ・国年・厚年 年金受給権者死亡届

 ・国年・厚年 未支給年金請求書

 ・国年・厚年 遺族給付裁定請求書

 

障害補償年金を受給していた人が死亡した場合の手続きです。先ず労災保険については、これまで支給された年金額が給付基礎日額の1,050日分(第3級の場合)に達していない場合、障害補償年金差額一時金として差額を請求できます。次に国民年金・厚生年金保険については遺族厚生年金を請求します。「国年・厚年 遺族給付裁定請求書」については、事例15を参照してください。

さらに問題文に、減額された障害補償年金(第3級)、とありますので、渡辺さんは障害厚生(基礎)年金も受給していたと考え、死亡した際の未支給年金を請求します。採点後に一緒に送付された解答には、障害等級は2級に該当するとありました。

様式集を見ただけではこれで全てのようですが、年金の受給権者が死亡したため、「労災 年金等受給権者死亡届」と「国年・厚年 年金受給権者死亡届」を忘れずに提出しなければなりません。重要な届出だと思うのですが、なぜ様式集に入っていないのでしょう。

 

「労災 年金等受給権者死亡届」

参考にした『社会保険・労働保険 手続便覧』には届出書として載っていませんでした。『労働社会保険様式記載例』には載っていますのでそちらを参考にしてください。主な項目は、死亡した日、死亡者が受けていた保険給付の種別程度なので、記入するのは難しくありません。だから載っていないのでしょうか?

 

「労災 障害補償年金差額一時金支給請求書」

これも、参考にした『社会保険・労働保険 手続便覧』には届出書として載っていませんでした。『労働社会保険様式記載例』には載っていますのでそちらを参考にしてください。もっと詳しい手続便覧を使った方がよいかも知れませんね。

障害補償年金、障害年金、障害特別年金の差額一時金をこの様式で申請できるようになっていますので、記載例を参照すると、「障害年金差額一時金支給請求書」に関する項目を消し線で消して、申請しています。次の順位で最先順位者に支給されます。2人以上いるときは全ての者が受給権者となります。

①生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹

②生計を同じくしていなかった配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹

 

「国年・厚年 年金受給権者死亡届」

「国年・厚年 未支給年金請求書」

・提出期限 : 速やかに。

・主な添付書類 : 死亡した人の年金証書、死亡の事実を明らかにできる書類(除籍謄(抄)本、死亡診断書など)。未支給分を請求する場合は戸籍謄本(除籍)、住民票(除票付き)など

年金を受給していた人が死亡した場合は戸籍法の死亡届とは別に、年金受給権者死亡届を提出します。届出しないと年金が支給され続けて、後で返還しないといけなくなる場合がありますので忘れないようにしましょう。

未支給分の請求は、生計を同一にしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の順序で行えます。年齢要件はありません。死亡届の用紙が3枚綴りになっていて、未支給分がある場合には同時に請求できるようになっています。

 

 

※ 以上、法令の内容や数値は当時のものですので、最新の内容はご確認ください。