事務指定講習 事例21

事務指定講習の再研究です。ただし内容は私の受けた平成20年のものなのでご注意願います。

 

事例21

早川俊一さんは業務上の災害のため左眼は失明し、右眼の視力も0.5となり、障害等級第7級と決定されたのを機に株式会社千寿を退職しました(62歳)。

障害等級第7級と決定された後、4年を経過して検眼したところ、右眼の視力が減退して0.1となりました。

 

必要となる手続き

 ・労災 障害補償給付変更申請書

 

治ゆ後に障害の等級が変更された場合の手続きです。障害補償年金を受けている者の障害の程度が、自然的経過によって変更した場合にあたります。加重障害(既に障害があった者が業務上の傷病または通勤災害によって同一の部位について障害の程度を加重した場合)とは異なるケースです。

当初の障害等級第7級では厚生年金としては3級よりも低く、障害手当金に相当しますが、障害補償年金が支給されているため、障害手当金の方が不支給となります。

悪化後の等級についてですが、『労働社会保険実務総論<給付編>』に載っている労災則14条・別表第1を見ると第5級(一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの)に相当するようです。障害厚生年金では、厚年令3条の8・別表第1を見ると3級(両眼の視力が0.1以下に減じたもの)に相当しそうです。1級または2級であれば事後重症により、障害厚生(基礎)年金を請求できたかもしれません。その場合、65歳に達する日の前日までに症状が悪化し、その期間に請求する必要があります。早川さんは退職が62歳、それ以前に障害等級第7級と決定されており、その4年後に視力が0.1まで悪化しています。はっきり書かれていませんが、65歳に達しているかどうか微妙なところです。

退職時の手続きも発生しますが、この事例ではそこまで考えなくてもよいようです。

 

「労災 障害補償給付変更申請書」

参考にした『社会保険・労働保険 手続便覧』には届出書として載っていませんでした。労働保険、特に労災保険の届出書で載っている種類が不足気味のようです。『労働社会保険様式記載例』に載っているものを参考にしてください。間違えないで記入する箇所は、現在受けている障害補償年金の等級ぐらいです。この事例では第7級とはっきり書いてあるので迷うことはないですね。

 

 ※ 以上、法令の内容や数値は当時のものですので、最新の内容はご確認ください。