『会報 2010年1月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

改正された労働基準法のポイント

 

前回の続きです。後半として、代替休暇の導入、特別協定加算割増率の新設、時間単位の年次有給休暇の新設についてです。

 

3.加算割増賃金部分の支払いに代わる代替休暇

 

5割以上の割増賃金を支払わなければならない1カ月60時間を超える時間外労働に対しては、加算割増率(2割5分増)について換算した休暇の付与に代えることができます。

この代替休暇を導入するためには、労使協定の締結が必要です。時間数の算定方法は、1カ月について60時間を超えた場合の加算割増賃金率と、労働者が代替休暇を取得した場合に支払うこととされている割増賃金率との差に相当する率を乗じて求めます。そのため、1カ月45時間を超える協定割率を25%にしている場合は、換算休暇の時間が少なくなります。

1日または半日単位になります。また、代替休暇と代休を合わせて取得することは可能と解しています。

 

4.特別協定加算割増率の新設

 

特別条項付協定による延長時間については、今回の改正の「限度時間を越える時間の労働に係る割増率」は努力義務となっており、2割5分を上回る労使協定を締結するよう努力義務を課す内容になっています。

ただし、業種・業務によってはこの限度基準の適用が除外されているものもあり、その場合は特別条項付協定の加算割増率の制度は適用されません。

 

5.時間単位の年次有給休暇の新設

 

事業場で労使協定を締結すれば、1年に5日分を限度として時間単位で取得できるようになります。労使協定では以下の項目を決定します。

 ・対象となる労働者の範囲

 ・有給休暇の日数(5日以内に限る)

 ・有給休暇1日分の時間数(1時間に満たない時間数は切り上げ

半日単位年休との関係はないものとして取り扱われます。

 

以上、改正の目的である長時間労働の抑制を実現することができるでしょうか。少なくとも受験対策としては、内容がややこしくて頭を悩ましそうですね。受験される方、頑張ってください(完全に他人ごと?)。