認知症を患う独居母が住む実家に、オール録音留守番電話を設置した経緯
母の認知症による日常の記憶漏れは、ちょくちょく周りの色々な方に迷惑をかけます。代表的な迷惑パターンが、行政による介護サービスの一環で受けている、「布団洗いサービス」。電話で「来週の月曜日朝、布団を受け取りに行きますね〜」と連絡されていたにもかかわらず、当日朝、その事をすっかり忘れて畑に出かけて不在。相手の方に多大なご迷惑をおかけすることがたびたび発生していました。
こんな迷惑事象発生を未然に防ぐため、我が実家には、全ての会話を録音できる留守番電話を数年前から設置し、母が電話でやり取りした内容を全て音声記録し、リモートで僕が内容を確認するようにしています。
こんな文明の利器を設置した結果、母が電話で約束したことがこちらでも把握できるようになりました。お陰で、約束した日の朝に母に電話し、「今日はxx時にこんな約束してるから、準備して対応してね」というフォロー電話をかけることで、周りの方へ迷惑をおかけすることを劇的に減らすことができようになりました。
この”全ての会話が録音できる留守番電話”の存在は、本当に有難いです。
月イチペースの実家介護帰省で帰宅直後に見つけた、見慣れないサプリメント
月イチペースの介護帰省直後、見慣れないサプリメントを見つけました。母に聞いてみると、「断ったはずなのに、届いたのよ。仕方無いからお金を振り込んだわ。」とのこと。しかもよくよく聞いてみると、数ヶ月前に同じサプリメントを2本購入しており、その時のサプリメントが丸々残っているにもかかわらず、新品を6本追加購入。その額2万円! さらに残念なことに、前のサプリが丸々残っているのにその事を忘れている母は、新しく届いたサプリメントも開封済。結果、開封だけして数粒だけ飲んだサプリの瓶が2本、部屋に存在する状態になってました。
早速、全ての会話を録音している留守番電話をチェック! するとそこには、驚くべき会話記録が残ってた
僕は即時、電話のやり取りを確認しました。すると、馴れ馴れしい営業のおばさんが、購入実績のある母に対しセールス電話をかけてきており、追加購入を熱心に働きかける電話のやり取りが、生々しく残ってました。
電話の冒頭、母は「サプリを購入したことを覚えていない」と相手のセールスに伝えると、相手のセールスは、「あら! サービスつけて送ったのに、そのことも覚えてないの? 失礼しちゃうわね〜」という、僕の戦闘スイッチを入れるのに充分なレベルの(それこそ失礼な)一言を発声。
その後も強引かつ狡猾なセールストークが長々と続き、母は「やっぱり要らないわ」と明確に不要の意思表示をしても引き下がらず、相手の粘り勝ちで最後は強引に商品を購入させて電話を終了。で、2万円分の、飲む気も無いサプリメントが一方的に届いていたという顛末でした。
母を馬鹿にしたセールス姿勢が許せず、即座にクーリングオフ手続き実行
すっかり戦闘モードに入った僕は、この時点で逆襲を決心!。直ぐに消費者相談窓口へ電話し、対策を相談。結果、先ずは簡易書留にて「通知書」なる、クーリングオフを申し込む書類を相手へ送付することにしました。
この時、届いた商品を既に開けてしまっているという残念なハンデがこちらにはありましたが、このハンデ含めて相手の姿勢に対して反省を促し、全額返金させるつもりで、「通知書」を作成し、送付しました。あとは相手の出方を待つだけです。
担当者からの待ちに待った入電ッ!!!
簡易書留を送付して数日後、待ちに待った担当営業のおばさんからの電話が我が家に着信しました。母が相手と会話しても埒があかないので、即座に僕と交代。
相手は交渉相手が母の長男に変わったことから、ちょっと驚いていたものの、「通知書」を送りつけられたということから、おそらく肉親が出てくることを想定していたのでしょう。特に困る様子も無く、「母から電話をかけてきた」とか、「母が自ら購入を求めた」とか、あること無いこと適当に言いつくろい、こちらが求めている返金を回避しようとしてきました。
こちらも、最初は紳士的に相手の言い分を冷静に聞いていましたが、あまりにも事実と違う話を持ち出して言い訳を続けるので、頭にきて、以下の一言を伝えました。
「僕は、あなたと母とのやり取りを、全て留守番電話で聞いた上で、この「通知書」を母から送ってもらっています。それでもまだ、この不毛な言い訳を続けるなら、出るとこ出ますがどうしますか?」
すると、少々無音の時間を経た後、「上と相談してかけ直します」という一言を残して、電話は切れました。
クーリングオフ完了ッ。 今後この押し売り会社からの電話セールスも完全撃退に成功!
その後は、会社の経理担当と名乗る方から再度入電。具体的なクーリングオフのお話になりました。それでも、損失を少しでも軽減したかったのでしょう。「母が開けてしまった1瓶分だけは返金できない」だの、「返品送料の負担はお願いしたい」だの、潔い姿勢は全くみられず、こちらとしては、呆れるばかりの対応でしたが、最終的にはこちらの要求を全て受け入れて頂き、クーリングオフの手続きを終えました。
(最後の最後まで「返送負担はお願いできませんか?」とおっしゃるので、「こちらが送料負担をしなければならない相応の理由を教えてください」と返すと、「では、送料の負担についてはそちらの判断にお任せします」と切り返される始末。最後の最後には「着払いで良いです」という回答まで引き出しましたが、恐らくこの経理の方は、クレーム処理係として、できる限り会社の負担を少なく収めることを強いられているのだろうと想像するくらい、自社負担を減らす交渉を粘ってされる方でした)
最期に
長々と綴った文章をここまで読んで頂き、ありがとうございました。
結論として皆さんにお伝えしたいのは、「記憶からこぼれる情報をすくい上げるツール」として、「オール録音留守番電話」は、とても頼りになる相棒になるということです。
今回の一連の問題も、全ての会話を僕が把握できていたからこそ、相手と強く交渉できました。認知症の方が身近にいらっしゃる方は、このような便利な電話の設置を是非、ご検討いただければと思います。
〜 以上 〜