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真央のジャンプで「着氷」定着

2011/3/22 7:00 日本経済新聞

 読者の皆さんは「着氷」という語にどんなイメージをお持ちですか。最近はフィギュアスケートのジャンプに伴う着地を言い表すことが多いのですが、この意味を載せている国語辞典はいまのところ少数派になります。

 国語辞典の「着氷」には「(1)飛行機・汽船などに、雪・水しぶきなどが、こおりつくこと(2)とびあがって、氷の表面に着くこと」(三省堂国語辞典、以下三国)の2つの意味があるものの、多くの辞書には(1)の意味しか載っていません。三国が第3版(1982年)に(2)の意味を載せて以降、大辞林、大辞泉、広辞苑の各中型辞典が続きましたが、大型辞典の日本国語大辞典やその他の小型辞典には(1)の意味しか見当たりません。

 三国の編集主幹を務めた見坊豪紀氏の著書「現代日本語用例全集3」(筑摩書房)によると、フィギュアの「着氷」は1977年の読売新聞の記事に見られ、30年以上も前から使われていることが分かります。ただ、この使われ方は一般的ではなかったようで、フィギュアの記事には「着地」「着氷」の両表記が見られます。記事データベースサービス「日経テレコン21」の検索で出現件数を調べてみると、初め数に差のなかった「着地」と「着氷」ですが、荒川静香選手がトリノ五輪で金メダルを獲得した2006年を境に「着氷」が圧倒的に多くなりました。

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「着氷」急増の背景には、浅田真央、安藤美姫両選手らの活躍でフィギュアの人気・注目度が上がり、記事量が増えたことが挙げられます。また、体操競技のようにピタリと止まるような「着地」よりも、ジャンプ後も演技が続く華麗な氷上の舞を表現するには「着氷」のほうがより適切であり、広く受け入れられたのではないでしょうか。

 著書に「現代日本語における進行中の変化の研究」(ひつじ書房)がある新野直哉・国立国語研究所員は「『着地』からの類推で(2)の『着氷』が新たに生じたと考えられ、(1)の意味の『着氷』が一般になじみが薄いこともあり、抵抗を受けることなく(2)の『着氷』が定着したのではないか」と見ています。フィギュアの「着氷」は、今後国語辞典という銀盤に次々と降り立っていくことになるかもしれません。

(小林肇)

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面白い着眼点の記事だと思いました。

着地と着氷の言葉の違いと、使われてきた経緯の謎を追ったものですね。

しかしこの着地と着氷、ジャンプを降りた後の、足の流れの事ですが、何か回転不足判定のルールに書かれている意味を調べているうちに出てきた謎だったのではないのかと、ふと思ってしまいました。

ルールにはやたらと、跳んだ後の着氷後の流れが良い方が得点が高いとか、また回転不足の着地した足の位置を細かく見たりするものがあります。

その意味を深く追求した時に、着地と着氷の違いは何だろうという事になって、この記事を書くにいたったのではないのかと、深読みしてしまいました。

題名が、真央のジャンプで「着氷」定着ですよ。

それは、やたらと回転不足をとられた3Aに対してのルール解釈を探った結果だったのではないのでしょうか、と、この記事を読んで、そう感じてしまいました。

気のせいなら良いのですが……。



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