私はダメおやじでした。
あげくの果てに、妻を捨て、子供を捨て、
これまで自分勝手に1人生きてきました。
そんな自分にとって、
心に突き刺さる映画を見てしまいました。
「さようなら、コダクローム」
という映画です。
この映画は、2つの意味で
私の心を揺さぶりました。
1つは、冒頭に書いたように
私自身がダメおやじであったこと。
この映画には、
家庭をかえりみず、奥さんと息子を捨てた、
余命いくばくもないバカ親父が出てきます。
もう1つは、私がコダックという会社に
勤めていたこと。
コダクロームというのは、
コダック社のフイルムの製品名なのです。
今ではもう作られていませんし、
現像もできません。
私もよくコダクロームを使いました。
コダックらしい鮮やかな色が出る
すばらしいフィルムでした。
コダクロームは、ポジフィルムといわれる
フィルムに属します。
現像すると、そのままスライドとして
使用できるフィルムなのです。
当時、家でスライドを見る習慣というのは、
ほとんどなかったと思いますが、
私はコダックに勤めていこともあり、
スライド映写機(プロジェクター)を
仕事でしょっちゅう使っていましたし、
会社のラボで上映会などもやっていました。
今のように
ビデオプロジェクターがなかった時代なので、
写真をスライド化して、
結婚式などで上映すると大ウケでした。
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疎遠だったら親子を再び引き合わせたのは、
消えかけた命の灯火と、古い写真フィルム。
唯一残された現像所を目指し、
一生忘れることのできない最後の旅が始まる。
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これは劇場公開作品ではなく、
ネットフリックスで見ることができる
映画です。
https://www.netflix.com/title/80216834
そういえば、最近はレンタルビデオ屋に
行くことがほとんどなくなりました。
ネットフリックスのような
動画配信サイトで
映画をストリーミング再生して観ています。
私たちは今、人類史上もっとも写真を
撮っている時代に生きています。
写真も映画も手軽に撮影したり、
すぐに観られるようになった代わりに、
もしかしたら、
大切なものが失われているのかもしれません。
最後に、バカおやじが残したセリフを
少し脚色してお伝えします。
(バカおやじと私が勝手に言ってますが、
本当は立派な写真家です。私とは比べもの
になりませんな・・・)
時間がすべてを消していく。
しかし、
写真が時間を止めて、
その瞬間を永遠にする。
我々が今撮影しているデジタル写真の
データが、未来永劫保存されていけば、
それはそれで素晴らしいことだと
思いますが、そうはならないでしょうね。