アレもコレもはいらない!(ビーサイズ)【他社戦略】 | 経営戦略で進むべき道を照らす!迷える後継者専門、「福井県後継者軍師」谷川俊太郎のブログ

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先代後継者との間の経営方針の違い、承継した会社の舵取りに迷う、そんな迷える後継者に経営戦略で進むべき道を照らす!福井県の迷える後継者専門軍師の谷川俊太郎です。経営戦略、経営お役立ちブログを毎日更新中!公認会計士・税理士・中小企業診断士の資格も保有してます!

こんにちは!シンプルな経営理論、戦略BASiCS、MQ会計、TOCの3本柱でお客様の先を明るく照らす、シンプル経営の伝道師、公認会計士、税理士、中小企業診断士の谷川俊太郎です!

 

今日は水曜日ですので、【他社戦略】を更新していきます!今日は子供の見守りサービスを拡大している会社の話です。私も小さい子供がいますので、興味津々です。

 

 

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【記事要約(平成30年4月11日 日経MJ P4より】

 

家電スタートアップ企業のビーサイズ(横浜市)が子どもの見守りサービスを拡大している。2017年4月にスマートフォン(スマホ)のアプリを配信し、月額480円と「ワンコイン」で、子どもがどこにいるのか位置情報が分かる。販売台数も増えており、今後は子供と離れてくらす高齢者の見守りなどにも対象を広げていく。

 

子どもの見守りサービスでは、NTTドコモやソフトバンクなど大手携帯会社も力を入れている。ただ、親子どちらも2年間の契約が必要になるうえ、子ども向け端末の価格は1万円からと高額だった。

 

ビーサイズの端末は通話機能はなく、機能を絞り込んだことで4,800円(税別)に抑えた。他社と比べて半額以下で利用できる。音が鳴らず、携帯端末持ち込みを禁止する学校でも持ち込める。

 

八木啓太代表は「子どもがどこにいるのか、把握したいというシンプルなニーズに対応した」と話す。初年度で約9000台の販売に到達する見通しだ。

 

(記事要約終わり)

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子どもの見守りサービスというのは、小さい子供がいる私も興味があります!色々と物騒な事件なども起きている昨今。子どもがどこにいるのかを把握したいという気持ちは多くの親御さんが持っているのではないでしょうか。

 

子どもがどこにいるかは、今の携帯端末を使ってもできます。でも…携帯って高いですよね。子どもに与えて、子どもが何に使うかも不安…。スマホなどは色々と機能がついていてとても便利ですが、その便利さが、「子どもの見守り」という点ではアダとなります。ハッキリ言って多すぎる機能が邪魔になります。しかもその邪魔な機能のために高いお金を払わなければいけないのは…納得できませんよね。

 

そのてん、ビーサイズさんのサービスは「シンプル」で良いです。今子どもがどこにいるのか知りたいだけのサービス。通話などの機能が逆にないサービス。むしろその方がニーズにマッチしています!いいですね、こういうサービス。

 

では、今回注目した点は以下のことです。


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【記事で特に注目した点】
余計な機能を省くことによって、ニーズにベストマッチした商品を作っている点
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<注目した背景>

今回これに注目した理由の理論は佐藤義典先生の、「戦略BASiCS」からです。以下、「戦略BASiCS」を簡単に説明します。

*例によって、理論が分かりにくかったら、 佐藤義典先生の理論のせいでなく、私の説明の力量不足です。その場合は、佐藤義典先生の著書を是非読んで下さい。

 

戦略BASiCSの解説

この「戦略BASiCS」は、佐藤義典先生の中核的な理論です。ですが、この理論、見た目は簡単でも、非常に奥が深いです。ですので、ここで書くのは、あくまでもさわりのところだけです。詳しく知りたい方は是非佐藤義典先生の本を読んでみて下さい。

 

「戦略BASiCS」とは、経営戦略・マーケティング理論は世の中に数多ありますが、まとめると5つのパターンに分類され、それを再構築した経営戦略理論です。そして、その5つを一貫性と具体性を持って考えることで強い経営戦略ができるという実践理論です。その5つは以下の通りです。

 

attlefield (戦場・競合)

sset (独自資源)

trength (強み)

i

ustomer (顧客)
Sellingmessage (メッセージ)

 

頭文字をとって「BASiCS(ベーシックス)」です。それぞれを簡単に説明すると、

 

 :自社が戦っている戦場・戦っている相手(競合)を明確にし

 :競合が真似できない強みをささえる資源を構築し

S :資源を強み(自社から買ってもらえる理由)にし、

 :自社の強みを選んでくれるお客様に対し

Sm :メッセージを伝えて選んでもらおう

 

とこのような考え方で構築される理論です。「お客様(C)が、競合(B)でなく、自社を選んでもらう理由を強み(S)とし、それを独自資源(A)で支え、それを伝えよう(Sm)」という言ってみれば当たり前のことです。ですが、これを自社で考えると難しいです。この理論、すべてにおいて「一貫性」を持つことが重要です。例えば、とても高品質なワンピースを作れる縫製技術(A)があるが、それを「ウチの強み(S)は『安さ』です!」といって売り出していたらどうです?『安さ』といっても、高品質なものです。ユニクロと比べて安いのでしょうか?しまむらと比べては?こう考えると、この会社は、「独自資源(A)」と「強み(S)」の一貫性がとれていないですよね。

 

一貫性を5つ全てにおいてとるというのは、非常に難しいです。この一貫性ですが、以下の「3つの差別化軸」で考えると一貫性を取りやすくなります。


※3つの差別化軸

 

佐藤先生の理論では、上記強み(S)のパターンは大別して3つしかないそうです。

 

①商品軸:(競合より)高品質・新技術

②密着軸:(競合より)個別ニーズに対応

③手軽軸:(競合より)早い、安い、便利

 

強みはこの3つのパターンしかありませんので、これを考えることで一貫性をとっていくことができます。
例えば、先ほどの縫製技術の話でしたら、他社よりも「破れにくい」という強み(S)を生み出せる技術力(A)があるなら、安くするのではなく、高くても「破れにくい服を欲しがるお客様」(C)を探す。といった感じです(具体性はないですが…)。これは①商品軸の例ですね。このように、自社が戦える(戦いたい)軸は何かを考え、それに合わせて一貫性を取った戦略を作っていけることで、BASiCSの一貫性がとれるようになります。

 

非常に難しいですが、できれば、とても強い経営戦略となります。そうしたら自信を持って、経営戦略を遂行していくだけです!是非この「戦略BASiCS」考えてみたいですね!!

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では、戦略BASiCSでみていきましょう!今回は一貫性を見ていきましょう。

 

 :子どもの見守りサービス戦場

 :機能をシンプルに絞ることができるスタートアップ企業の組織体制

  (大手だと、開発した機能を省くことに抵抗が出る可能性があります)

S :余計な機能をつけず、低価格なので、必要な機能だけを安く利用できる

 :お子さんが今どこにいるか知りたいけれども、アレもコレもと余計な機能がついているものに

   高いお金を払いたくない人

Sm :余計な機能はついていません!お子様の見守りのためだけにお使いください!

    アレもコレもと機能がついていませんので、低価格で利用できますよ!

 

このような形でしょう。独自資源があるのかな?大手にマネされないかな?と思いましたが、大手の携帯電話開発メーカーですと、逆に「機能を絞って低価格」というのは難しいのではないかと思いました。それは、色々機能を開発するのに資金をかけていますので、それを使わずに安いものを作るというのは、これまで色々開発してきた過去に対して難しいのではないかと思います。その点、ビーサイズさんは2011年に設立したばかりのスタートアップ企業ですので、そのあたりの「過去の開発」は考えなくても良い点が独自資源かと思います。

 

これをみると、「シンプル」に機能を絞っていることが、お客様のニーズとの一貫性をとることにつながっているなと感じます。戦略に一貫性があるサービスは流れも良くなります。

 

日本の商品って、なぜかアレもコレもと機能を付けたがりますよね。そうなると、「これだけ欲しいのに!余計なものなんていらないよ!」というニーズには対応できていなくなります。機能を付ければよいというわけではないんですね。

 

機能を絞るというのは恐ろしく感じるかもしれませんが、大事なことは「お客様」です。お客様がその機能に価値を感じてもらえるかどうかが大事なんです。アレもコレもはいらないですよね。

 

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【会計的な効果】

会計的な効果ですが、いつもの売上の公式を書くと

 

P(売上単価)×Q(販売数量)=PQ(売上高)

 

です。そして利益(G)の公式はどうなるかというと、

 

G(利益)=PQ(売上高)-VQ(変動費合計(V×Q))-F(固定費)

 

となります。ビーサイズさんはスタートアップのきぎょうですので、大手メーカーと比べてF(固定費:人件費など)は低いでしょう。簡単に言うと、大手企業よりも少ない販売台数でも利益が出せるということになります。

 

また、機能を絞っていますので、V(変動費単価)も低いでしょう。1個当たりの粗利益(M:P-V)も値段を低くしても採算がとれるということになると思います。

 

大手が入ってこれないところを小ささを活かして攻めているなと思いますね。

 

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【自分ならどうするか?】

中小企業診断士として、自分ならどうするか?も考えてみましょう。

機能を「絞って」売り出した。まずは子どもの見守りサービスから始めましたが、「絞る」ということは別にお客様を減らす行為ではありません。「絞る」ことによってお客様のニーズがはっきり見えてきます。今回のビーサイズさんのサービスのお客様のニーズは、「できるだけ低コストでどこにいるか知りたい」ということでしょうか。このニーズは別に子どもに対してだけ発生するものではありません。これからビーサイズさんも始めていくようですが、「ご老人」なんかにも出てくるニーズでしょう。

 

この「ニーズ」からもっと広がりを持たせられないか?考えていきたいところです。他にもペットなんかにも使えるかもしれませんね。猫につけておくとか。

 

「ニーズ」による広がりを持たせることはまだまだ可能だと思います。

 

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いかがでしたでしょうか?今回は「絞る」ことによって、ニーズとの一貫性がとりやすくなったビーサイズさんの話でした。「絞る」ことは恐いことではありません。自信をもって「絞って」いきましょう!アレもコレもはお客様が逆に不満に思っているかもしれませんよ!