戦略の変更は一朝一夕にはできない | 経営戦略で進むべき道を照らす!迷える後継者専門、「福井県後継者軍師」谷川俊太郎のブログ

経営戦略で進むべき道を照らす!迷える後継者専門、「福井県後継者軍師」谷川俊太郎のブログ

先代後継者との間の経営方針の違い、承継した会社の舵取りに迷う、そんな迷える後継者に経営戦略で進むべき道を照らす!福井県の迷える後継者専門軍師の谷川俊太郎です。経営戦略、経営お役立ちブログを毎日更新中!公認会計士・税理士・中小企業診断士の資格も保有してます!

こんばんは!
経営者の想いをカタチ(戦略)に、実行までサポートする、谷川会計総合事務所、所長の谷川俊太郎です。

最近ネットの情報を見ているときに、大塚家具に関するニュースが目に入ってきました。

大塚家具が過去最悪の営業赤字に沈む理由

大塚家具と言えば、ちょっと前に娘と前社長の確執などで大きな話題になった会社です。この話では、結局娘の久美子社長が社長に就任するという形になりました。その後、大塚家具はどうなっていたのかな、と思っていたところにこのニュースが目に入ってきたんですね。このニュースでは、大塚家具はとても苦戦しているようです。

娘とお父さんはビジネスモデルに関して大きく対立していました。大塚家具はこれまで、「会員制」をとっており、会員でなければ家具の購入ができなかったのですが、久美子新社長はその方針を改めて、気軽に入ってもらえるお店を目指したようです。

要は、これまでの経営戦略を大きく変え、ターゲットとなる顧客を変えたということでしょう。これまでは会員になって頂ける方に手厚くサービスを提供しているという形で、おそらくターゲットとなるお客様は、それなりに所得がある方だったのでしょう。ですので、高級家具戦場で戦っていたのではないかなと思います。

それが、新しい方針では「気軽に入れる」というのが一つのキーワードです。つまりこれまでのそれなりに所得がある人だけでなく、「ターゲットを広げた」ということではないかと思います。

これまでの会員制は会員向け特別なポイントサービスに移行しているようですが、これまでのやり方(会員にならなければ購入ができない)からは大きく変化しているようです。

「ターゲットを広げる」ということは、これまでの高級家具戦場だけでなく、ニトリやイケアなどの低価格な家具を求めて来店するお客様もターゲットとするということですので、ニトリやイケアも競合になってきます。すなわち、「家具戦場」で「高級路線」で戦うということになるでしょう。

すなわち、戦場も広がることになります。競合も増えるでしょう。おそらくニトリやイケアだけでなく、昔ながらの町の家具屋さんも競合になってくるでしょう。かなり厳しい戦いとなっているでしょうね。

そんな中での今回の営業赤字予想です。やっぱり厳しい戦いになっているという印象を持ちます。

ただ、やり方が全くダメなのか、というと決してそうではないでしょう。これまでのやり方でも厳しいと思っていたからこそ、社長としての戦略転換なのでしょうから。ただ、ターゲットを明確にして、大塚家具が「選ばれる理由」をどこまで考えているのか、というところが気になります。

もしも私でしたら、「これまでの資源」を使うことを考えると思います。すなわち、会員制でサービスを提供していましたので、その人に対する最適な「提案力」などが会社の中に培われているのではないでしょうか?それを利用して、展示方法を提案力を高めた方向に改めるなどです。要は、ニトリやイケアとの差別化を、お客様向けの「提案力」で補う方向で考えるということですね。そのためには、これまで大塚家具で蓄積された、お客様別に喜ばれた提案などをまとめていく必要がでてくると思います。商品数を絞って「シーン別」の部屋サンプルを作るなどしても面白いかもしれません。まあ、久美子社長は相当な才女のようですので、この程度のことはすでに考えているかと思いますが。色々会社内部も大変なのでしょう。

また、「選ばれる理由」を考えていたとしても、大塚家具さんの戦略はこれまでとは大きく異なっていますので、これまでのやり方に慣れている従業員さんが急にそのやり方についていけない、ということは予想されます。慣れたやり方を急に変えることは非常に大変ですから。その意味で、戦略の変更というのは一朝一夕ではできません。これまでの「やり方」という目に見えない壁が立ちふさがりますので。

おそらく、これまでの「やり方」を変えて、業績につなげていくためには、時間を要すると思います。従業員の方に、新しいやり方を伝えて、なぜそのやり方が必要なのか伝える。そういった積み重ねが大事になってくるのではないかな、と思います。

大塚家具は「会員制」というユニークな戦略をとっていたからこそ、長年実施し続けてきたことをやめるとなったら、相当労力を要するでしょう。戦略はユニークであればあるほど、振り切っていればいるほど、変更する際大変になります。そういう意味で、戦略はよく考えて実施しなければいけないなと思いますね。

大塚家具さんの事例も自分たちの教訓にしていきたいと思います。大塚家具さんも新しい体制のもと、これからどうやって業績を回復していくのか、注目していきたいと思います。