北杜夫の本なんだけど、買ったのはまだ昭和だった頃。
そのわりには古さを感じない。
って、これは内容じゃなく本自体が。
紙も黄ばんでいないし、綺麗。
字はそんなに大きくないけど、行間があるせいか、意外と読みやすかった。
北杜夫といえば、初めて読んだのが「船乗りクプクプ」で、なんで「プクプク」じゃなく「クプクプ」なんだろうと。
言いにくい。
声に出して読むわけじゃないので、別にいいんだけど。
その後が「怪盗ジバコ」。
それぐらいしか覚えていなかったんだけど、そのほかにも数冊読んでいた。
学生の頃の話だから、内容はまったく覚えていないけど。
おれは怪盗ジバコだぞ
どうだ、ミヨちゃん怖いだろう。
そういう歌がジバコの中に入っていたと思う。
確かめてないのでわからん。
怪盗ジバコという響きが好きで、このキャラクターはお気に入り。
で、この2冊から北杜夫というのは、わりとFTよりの小説を書くのかと勝手に思い込んでいたら、違った。
「押入れの子供たち」って児童書があったと思うんだけど(微妙に題名が違うかもしれない)「天井裏の子供たち」と題名の雰囲気が似ていると思いません?
「押入れの子供たち」は確か、押入れの中から別の世界に行って何たらこうたらという話だったと思うんだけど、これも一回しか読んでないから全然確かな情報ではなく、わしのまったくの思い込みかも知れない。
で、題名が似ているから今回読んだこの本もFTっぽい話じゃなかろうかと、勝手に思い込んでいた。
全然違った。
5作からなる短編集なんだけど、
精神病棟の話と、不良がきんちょの話と、老婆の話と、後は私小説2作だった。
思っていたのと違うからって、つまらなかったわけではなく、それなりに面白く読めた。
私小説のうちの一作「死」は、父斉藤茂吉の事を書いていて、茂吉がどんな人だったかがわかる。
別に、茂吉のファンでも短歌を読んだわけでもなく、名前を知っているだけなんだけど。
なんだか、茂吉の人となりが知れて、ちょっと得した気分。
解説の人が、日本の作家は私小説を書くのが上手い、みたいな事を書いていて、
この本の5作を見ると、私小説2作のほうが面白くて、
まったくその通り、北杜夫に関しては、だと思った。