アディクト C610XH | SEEKLET

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バス釣りに纏わる主観的な記録

※必ず、「はじめに」の記事を読んでからお進みください。
※本記事をお読みになる前に、
「張り・粘り・パワー・トルクとは何か」
「タックル一覧」
「なぜダイコーなのか」
をお読み頂くことを推奨します。

このロッドインプレッションでは、手持ちの竿をメインに自分の感じた事を1本ずつ記事にしていきます。これまでの記事以上に自分の感覚や経験に頼る評価になりますので、その点に留意してお読みください。今回はダイコー:アディクトC610XHです。

↓↓↓アディクトC610XHのスペックはこちら↓↓↓

http://www.f-daiko.com/lure/product/addict/spec_price.html

 


♦︎主な用途♦︎
ジリオンJDHL+18lb.フロロ
・ヘッドウェイト3/8~1/2ozのラバージグ


♦︎紹介♦︎

琵琶湖でラバージグに凝りだしてから、自分の中で「ジグロッド」の定義は大きく変わった。

「ヘビー系バーサタイルロッドでやるメソッドの一つ」では無く、そのためだけに1タックル積む価値のある威力が、ラバージグにはある・・・だから、本当に特化した専用竿が必要になるのは自然な事だった。

 

自分がジグロッドに求めたのは、

①ウィードエリアで容赦なくリアクションラバージグができる張りと剛性

②ファイトとキャストの安定感を担保する素直なベンドカーブ

③ストラクチャーを極力動かさず丁寧に解し回避できるだけの繊細な操作性(バランス・軽量感)と高感度

この3点。

 

しかし、市場に溢れる所謂「ジグロッド」に、それが実現できているロッドが殆ど無い事に気付くまでそう時間は掛からなかった。ダイコーが「ジグロッドの最高傑作」と謳うエンズヴィルENC71MHでさえこの用途には弱すぎたし、エスクワイアEsqC73XHではやや雑になる。他メーカーを探してもパワー不足かティップペナペナバットガチガチの駄竿ばかり・・・①だけでも満たしていれば良い方で、そんな竿がXHクラスのジグロッドに多いのも事実だろう。結局、スーパーボーダーを買い戻したりブレインを追加するまでは食指が動かず、EsqC73XHを使う日々が続いた。

 

そんな中、ダイコーから松本太郎さんが退職され、翌2014年にはダイコー自体が釣具事業から撤退してしまう。末期に発売されたドルーグを触って、自分は「松本太郎が作るダイコーの竿」が好きだったのだと気付かされた。釣りが大好きな一流デザイナーが確かな技術を以って鍛える一振り一振りに、自分は惚れていたのだ。

 

今回紹介するアディクトC610XHは、その最期の光から生まれた至高の太刀。

自分の要求を全て超越し破綻なく内包した、唯一無二のジグロッドだ。

こんなロッドが何故市場に現れ、そして何故売れなかったのか・・・そのどちらも、自分には解らない。



♦︎評価♦︎
【硬さで掛けてアクションで獲るジグロッド】

アクションで掛けて硬さで獲るジグロッドや、硬さで掛けて硬さで獲るジグロッドは世に溢れているが、「硬さで掛けてアクションで獲る」XHジグロッドはこのアディクトC610XHしかない。

 

その秘密は、超高弾性厚巻き×レギュラースローアクション。

スーパーボーダーやブレインより硬いティップから始まる驚異的な張りと剛性感が、負荷に順応して漲る強反発でウィードを切りバスを掛けていく。リールシートがTCSなのも素晴らしい。

 

使用感はとにかく軽快で、ウィードの切断も回避もジグのリフトも正に意のまま。ダルさが一切無い直結した操作感はもはや真っ当な釣竿のそれではないが、バスを掛けた瞬間に淀みなく曲がり浮かせるその業は他メーカーのジグロッドには絶対に無い味だ。また感度も凄まじく、バランスの良い細身のブランクスの軽量感と相まって、恰も自分の手で直接ジグを摘み上げているかのような錯覚に陥る。

「速度域が違う」「後の先を制す」・・・抽象的なカタログ文章の意図は、実際に手に取った者だけが直感できる真実。このジグロッドに追随できるのはブラッカートB4-69くらいだが、それでもまだ弱いと感じた。本当に数が無いロッドだが、もし目にすることがあれば是非とも手に取ってみて欲しい。