身延参詣の記その二(御年頭会と奥の院思親閣) | 生臭坊主の独り言

身延参詣の記その二(御年頭会と奥の院思親閣)

いつもなら、菩提梯を登り切ったら、呼吸の落ち着くのを待って、祖師堂の御開帳を受けるんです。これが目的の一つなんですが、1月13日は身延山久遠寺の行事がありまして、この時間での御開帳は無理じゃないかと判断したんです。お山をあげての法要ですからね。その法要というのは、御年頭会といいまして、その昔、お正月に御信者たちが身延の御草庵におられたお祖師さまに年賀のご挨拶をしたという故事に基づくものです。

お馬さんがいました。手綱をとるのは、当時の御信者さんの子孫の方たちです。この御法要の最後には、身延山の法主猊下がお馬さんににんじんをやり、頭を撫ぜなぜするんですね。

お馬さんに対してのご祈祷ですかね?

腹がいっぱいだったのか、にんじん嫌いなのか、このお馬さんはにんじんを食べずに落としてしまった。

もう12時前ですよ。時間がない!ここまで見たら、もういいでしょうということで、受付へ走りまして、御開帳の順番を待ちました。

ようこそ身延山へ。

御開帳のポスターの下には、次のようなコメントが。「ご参拝の折、お開帳を受け、日蓮大聖人にご挨拶を致しましょう。」そういうことなんですね。御開帳は、御厨子の扉を開けてもらって、お祖師さまの御尊像を拝することです。生臭坊主は、拝むというよりは、御開帳のお経が上がっている間、昨年にあった出来事を言上し、また来年お参りできますようにと、今年一年の無事をお願いしてます。久遠寺の祖師堂にお祀りしてあります、お祖師さまの御尊像は、「水鏡の御影」そっくり。老年のお祖師さまのお姿で、目がぎょろっとされています。日蓮門下の各宗派のお檀家さんのご家庭、あるいは、各寺院でお祀りされている、御尊像もお顔を表情は様々。ちなみに一番写実的だなあと思うのが、東京の池上本門寺のお祖師さまですね。

予定より1時間半以上遅れてます。御開帳が終ったら、急いで、大本堂地下の宝物館を見学。そして、ロープウエイに急ぎました。

終始、駆け足であります。山麓駅につきましたら、御寺院の団参が一組。一足先にロープウエイに乗り込んだところでした。そんなことを思ったらいけないのでしょうけど、「困ったなあ。」

昔から不思議に思ってるんです。売店では、山梨の地酒に加えて、広島のお酒、賀茂鶴を売っているんですよ。

そんなことはどうでもいいとして、20分待って、ロープウエイに乗り、7分で頂上駅へ。

参道途中に三光堂が見えました。昔はゴンドラにガイドの女性がひとり乗り込んで、生の声でお山の紹介をして下さいました。けど、今はテープに変わりました。そして、今年は、英語でのガイドと交互に流れてきました。時間が倍になりますから、以前、ぷっぽうそうと鳴く、コノハズクのテープが流れたりしていたんですけど、それはありませんでした。

身延山山頂到着。富士山が見えるんですが、雲をかぶってましたね。このときまでは快晴だったんです。

さらに急ぎます。時間がないから。

小走りで奥の院へ。

是れより御本山迄五十丁。1丁は約109mなので、50丁は・・・、計算している暇はない。

故郷の安房小湊に向いているお祖師さまの銅像。非常に厳しいお顔をされておる。

両脇には、お祖師さまお手植えの杉。左のこぶのついた杉が、御母妙蓮尊尼追善のため。こぶはお乳を表すんでしょうね。右が御乳妙日尊儀追善のために植えられたものと伝わります。ほかにあと2本ありまして、一つは師匠道善御房御報恩のため、もう一つは立正安国の祈りのために植えられたと伝わります。

これは立正安国の祈りのためにお手植えされた杉ですが、これってヤバいんじゃないの。どう見ても枯れているようなんですけど。樹齢700年以上ですから、無理もないのかもしれませんが、伐採されていないから、完全に枯れてはいないのかもしれません。ただ、この杉がこんな状態では、立正安国どころではない。国内外にろくでもない事が起こり続けるのは、このせいかもしれんと思いました。

こちら奥の院思親閣でも御開帳をしていただきました。ただ、心配していたことはですね、一足さきにお参りされた、御寺院の団参の方々の御開帳の後に生臭坊主の御開帳になるからなんです。個人じゃなくて、団体ですからね。時間がかかるのは当然。イライラしたらいけないのですが、ちょっと焦りだしました。

このあと、御開帳をうけたのは生臭坊主ひとりだったんです。それと、この日、御当番のお上人が、お経をゆっくりと読まれるんです。お自我偈だけだったんですけど。そのあと、呪陀羅を5回転読。いつもは3回だったような。いやあ、思ったらいけないのは分かってますけど、あせりましたね。ここでは、お祖師さまが故郷の方を向いてご両親の御回向をなされたという故事にならって、生臭坊主も防府の方向へ向いて、両親に手を合わすことを毎年してます。

すべてが終りましたら、急いで思親閣を後にしました。途中、大急ぎでお札所で今年の暦と護符を買いました。例年だと、売店2回の食堂で腹ごしらえをするんですが、この時点ですでに午後1時半を過ぎてました。山頂駅に戻る前に、七面山の七面大明神を遙拝。

山の天気は変わりやすい。急にガスってきまして、さらにはぐっと気温が下がったと思ったら、雪がチラチラし始めました。

お土産も買わずに帰りのロープウエイに飛び乗ったのでありました。

(続く)