どんな練習をすればギターが上手くなりますかね?
 
と言う質問をよくされる。
 
まず自分が聞くのは、
 
ギターのフレット上の音を全部覚えていますか?
 
フレット上の音を知る事は、英語で言えばアルファベットを、日本語で言えば五十音や漢字を覚えるのと同じ。
 
アルファベットや五十音や漢字を知らなくても日常会話はできるだろう。でも自分の言葉を文章に起こしたり、文章を読んだり、言葉以外での意思の伝達が全くできなくなる。
 
同じようにフレット上の音を知らなくてもギターを弾くことができるけれど、自分が何を弾いているのかを知らずに弾いていることになる。
 
なので、まずはフレット上の音を全部覚えてください、と言うようにしている。
 
自分の経験からも、フレット上の音を全部知った上で何かを身に付けるのと、知らずに身に付けようとするのとでは、身につく速度が段違いだ。

新しいスケールを覚えたり、フレーズを覚えたり、コードを覚えたりするときにフレット上の音を知っていると、自分が何の音を弾いているのかが分かり理解が深まるし、同じ音でも違うポジションで弾くことができるようになるので、広がりが出てくる。
 
いわゆるフレットを制することにつながっていく。
 
これは根気が要る作業で、あまり面白くないのでみんなやりたがらないけれども、確実に上達する速度が変わる。 
 
ちなみに、自分がプレイするときは、ソロは即興で弾いているし、コードは曲の中であらかじめアレンジされた物はその通りに弾き、曲によってはスモールコードやダブルストップ、テンションコードなどを曲調やその場その時のひらめきやバンドのサウンドに合わせて即興で弾く。その際に、
 
★何の音かをわかって弾いている(A ,B, E♭, F#というような)
 
★コードに対して何度の音で、どのような役割を持った音かをわかって弾いている
 
★さらにその音がどんな気持ちを引き起こしてくれるか(ちょっと物悲しい、開放的な気分にさせてくれる、クールな感じ、家に戻った安心感、と言うような)も感じて弾いている。
 
感覚としては、長年弾いて覚えたメロディーやコードの断片がたくさん引き出しにしまってあって、弾きながら引き出しが次々に開いてその瞬間の場の盛り上がり方や気持ちの動きに合わせて、合うメロディーやコードが飛び出してきて、それを指が拾って音に替え、それらをつなぎ合わせて、曲の間中それが続いていく。一瞬のことなので、考えはほとんどなく自然で感覚的な動きだ。
 
いろんな人から影響を受けたりコピーしたフレーズもその中にたくさんあって、でもそれが自分の中で消化されているので、自然に出てくる感覚がある。逆に言えば、消化されていないものは、スッと出てこないものだ。
 
その中にはよく出てくる癖のようなものもたくさんあるのだけれど、それは手癖というよりは、メロディー癖、そこに行きたい気分の癖だと思っている。
 
こうなるまでに、40年以上ギターと付き合ってきた。まずはフレット上の音を全部知ること。そこから始まっている。
 
何年ギターを弾いていても、いまだにフレット上の音がわからない人も結構いるものだ。
 
まだ覚えていないというギタリストのみなさんは、ぜひ挑戦してみてね。
 
必ず景色が変わってきますよ!!