つい先日チャック・ベリーとジェイムス・コットンの訃報をお伝えしたばかりだというのに、今度はロニー・ブルックスの悲報を書かなければいけない。

ブルース/ロックンロールの世界では、悲しい数週間になってしまった。
 
 
シカゴをホームにする世界一のブルース・レーベル、アリゲーター・レコードの看板アーティストとして、1970年代から小生のブルースの母親ココ・テイラーと並んで活躍してきたのがロニー・ブルックスだ。
 
来日が一度しかなかったこともあってか、日本では一般的にはあまり知られた存在ではないかもしれない。でもアメリカ、カナダ、ヨーロッパでは紛れもなくブルース・スターだった。
もちろんシカゴでも、ブルース界のトップ・ミュージシャンの1人で、小生も大尊敬する先輩だった。何度かジャムもやらせていただいたし、話をする機会もあった。
 
今でも脳裏に焼きついているロニーの言葉がある。
 
「ブルースは、早く弾くために作られた音楽ではないんだ。早く弾けば弾くほど、フィーリングが削がれていく。時間をかけてじっくりと弾き込まなければいけないんだよ」
 
テクニックに走るなよ、と貴重なアドバイスをくれた。
 
ロニーは、時代の音を取り入れながら、新しいブルースのスタイルを常に模索してきたミュージシャンだった。彼から直接影響受けたミュージシャンが多いことを考えると、彼の功績はとても大きいと思う。
 
日本では、50、60年代以降のシカゴ・ブルースがなかなか受け入れられない印象が強いけれど、実はロニー・ブルックスなどが築いたモダンなブルースを抜きには、”今”のブルースを語ることはできない。
 
ロニーのスピリットは彼の2人の息子ロニー・ベイカー・ブルックス、ウェイン・ベイカー・ブルックスに受け継がれていくはずだ。もちろん小生の中でも。
 
ありがとうロニー。あなたの偉業と残してくれた音楽に心から感謝を込めて。 R.I.P