と言っても、小生の事ではない。あるいは、世間を騒がせている、某芸能人の事でもありませんよ。思わせぶりなタイトルに引き寄せられてここに来た人は残念でした(^∇^)。

数日前、シカゴのサウス郊外アルシップ市で行われた、ドラッグやアルコール中毒を克服した人達の集いでギグをやってきた。
約100ほどのパーティーは、普通のパーティーと何ら変わる事が無く、バンドやDJの音楽に合わせてステップを踏む人も多く、なかなかの盛り上がり。でも、ここに集まったのは、麻薬やアルコールに溺れ、それを克服した人達と、その配偶者達だ。

楽しかったパーティーが、壇上に立った40代前半くらいの女性のスピーチで、一瞬にしてシリアスモードに変わった。

10代後半から20代にかけてクラックにハマっていたというその女性は、
「食べる事もせず、3日間も体を洗わず、もちろん仕事も満足にできず、ハイになる事だけがその時の私の人生でした。その時期の私は、今考えれば、肉体的なものだけでなく、精神的にも、感情的にも全ての成長が止まっていたのだと思います。生きていながら死んでいた、そんな時期でした」
あるときリハビリのプログラムに出会い、さらにキリストに帰依することで、中毒から立ち直った過程を時には涙を流し、時には荒々しい声で告白していた。
 今では、結婚もして子供にも恵まれ、時には小さな問題に当たりながらも、感謝の気持ちを持ちながら”クリーン”(ドラッグの無い状態)な生活を送っているんだそうだ。

菊田俊介オフィシャルブログ「菊田俊介ブルース日記」Powered by Ameba-リハビリ(DJに合わせてステップを踏むパーティー参加者。あちこちから笑いがもれる)

アメリカのブルースの世界って、酒とドラッグがつきもの、みたいなイメージを持っている人がけっこういるかもしれない。もちろんそういうミュージシャン達もいるし、実際に何人も知っている。昔のブルースマン達は飲んで演奏するのが当たり前というところもあったし、ジュニア・ウェルズもツアーではタンガレー・ジンをストレートでぐいぐいやって、かなり酔いどれで演奏していたよね。

 でも、実際に第一線で活躍するミュージシャンは、クリーンな人達がほとんどだと小生の経験から言える。ココも、15年間一緒に活動をしているJWウィリアムスも、ドラッグどころか酒も飲まない人達だ。何年にも渡って安定した音楽活動をするには、結局自分を律しないといけないんだよね。それは他の仕事と全く一緒。若い頃はドラッグにハマったことがあっても、クリーンになった後に活動が軌道に乗ったミュージシャンも何人もいれば、逆にやめられずにシーンから姿を消し、中には死んでしまった人達もいる。自己抑制の利くジャンキーってのはなかなかいないので、大体どちらかなのだと思う。

考えてみれば、周りにココやJWのようなお手本になる先輩ミュージシャンがずっといてくれた事で、酒やドラッグに吸い寄せられる事がなかったのは、自分にとってものすごくラッキーだったんだと思う。