「チャック・ベリー式っすね」
去年の日本ツアーが始まってまもなく、福島あたりのインターで偶然会った、ハーモニカのコテツにこう言われた。

チャック・ベリー。『ジョニーBグッド』や『ロールオーヴァー・ベートーベン』などロック史に残る名曲を何曲も書いたロックンロールの父。
チャック・ベリーは、こんな大物ミュージシャンなのに、自分のバンドを持たない事でも良く知られている。
一人で飛行機に乗ってツアーに行き、現地のバンドとプレーするスタイルを何十年も続けているんだ。

コテツの言葉は、小生がドライバー兼ロードマネージャーの”まっつん”と各地に出向いて、現地のバンドと共演したことを指している。
去年は12都市で10のバンドと共演、そして今年は15都市で7バンドと共演する予定だ。←日本ツアー日程

20年近くブルースをプレーして得た事の一つが、日本各地で活動するミュージシャン達との出会いだった。
数年前から、そういった仲間達を頼って、地方でライブをやるようになった。
そして、去年初めて北は札幌から南は鹿児島まで日本を縦断する全国ツアーを行った。これも全て、ブルースを通して出会った仲間達の協力によるものだ。

去年は札幌までは飛行機で行ったけれど、仙台から鹿児島まで、まっつんと車での旅だった。
各地でライブの前に2時間くらい音合わせをやって、本番。
それが可能だったのは、ブルースが”共通の合い言葉”的な、ベーシックでシンプルなフォームを持った音楽だということと、各地のバンドのレベルが高かったからだ。

地方にも素晴らしいミュージシャンがたくさんいる
それぞれの土地で音楽活動やライブ活動を精力的に行っている実力のあるミュージシャン達だ。
プレーのスタイルであったり、テクニックであったり、本人の強い個性だったり、あるいは音楽への真摯な姿勢だったり、彼らから学ぶ事は、本当に多かった

プロとかアマとか、それを生業にしているかいないかなんて関係ない。
一緒にプレーしてお互いにインスパイアしあえて、そこに輝く音が響き渡り、さらにお客さん達が楽しんでくれれば”それでいいのだ”

去年はそういう場面が何度もあったし、今年のツアーもそれを求めて、楽しみにしつつ、全国を回ろうと思っている。

そして、小生がシカゴで得たものを、お土産として各地に残していければなお嬉しいね。

菊田俊介ブルース日記-Mojo West 3/08(昨年2月、京都のMojo Westで。Nacomi&Friendsのメンバーに混じって今は亡き塩次伸二さんの姿も・・ウルウル=Photo by 968)