話題の映画キャデラック・レコーズをやっと見ることができた。といっても、映画館ではなくDVDだけど。
http://www.sonypictures.com/movies/cadillacrecords/

シカゴ・ブルースといえばチェス・レコーズと言うくらい、1950~60年代にかけて、マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、リトル・ウォルター、チャック・ベリー、ボ・ディドリー、エッタ・ジェイムス、ジミー・ロジャース、ウィーリー・ディクソン、ココ・テイラーなど、そうそうたるブルースマン、ウーマン達がチェスからヒットを出し、世界に飛び出していった。

このキャデラック・レコーズは、チェスのオーナー、レナード・チェスとブルースマン、ウーマン達がシカゴを舞台に繰り広げるヒューマン・ドラマだ。

何故、この映画が”キャデラック・レコーズ”なのか映画を見て納得。当時の白人オーナーが黒人ミュージシャンを相手にしたビジネスの現実が鮮明に浮き上がって来る。

マディ・ウォーターズと、リトル・ウォルターの兄弟のような深いつながりが涙を誘う。
さらに、マディと、ハウリン・ウルフの緊張感のある関係は、史実としてもよく言われる事だけど、この映画でもしっかり描かれていて、納得。

レナード・チェス役に、2002年の”The Pianist"でオスカー主演男優賞をとった、エイドリアン・ブラディ(The Pianistをまだ見ていない人は、ぜひ見よう。ものすごくヘヴィだけど、感動の映画だ)、エッタ・ジェイムス役にビヨンセが扮する。

サウンドトラックは、ほとんどが俳優本人達によるもので、このへんは、評価が分かれるところだろうね。
特に、マディは、かなり本人をイミテーションして歌っているけれど、あのディープな声はやっぱ出ないだろうよ。だからこそマディーはワン・アンド・オンリーでグレイトなんだけどね。

ハウリン・ウルフと、チャック・ベリーは、本人そっくり。
特にウルフは声もそっくりで、この映画の中で一番の当たり役だったと思うね。

セックス、ヴァイオレンス、人種、ロックンロールと盛りだくさんで、中でもビヨンセ扮するエッタと、チェスの禁じられた関係が、ドラマ性を強調していて、いかにもハリウッドらしい作りだ。

女性シンガーはエッタだけで、ココ・テイラー役が出て来なかったり、看板スターの一人でもあるボ・ディドリーが出て来なかったりと残念なキャスティングも。
スターが多く出て来てストーリーに焦点が合わせにくくなるというのは理解ができるけど。
このへんは、この映画を作るのに苦心したところなんだろうな、とは想像できるね。

ちなみに、映画撮影の前に、ココとクッキーはミュージシャン達の話し方や手振りの特徴、特にウィーリー・ディクソンについてはずいぶんアドバイスをしたそうだ。

ブルースファンはもちろんだけれど、音楽の好きな人は絶対に見て損はない映画だ。