アメリカには、国民健康保険がない

ヒラリー・クリントンが国民健康保険を実現しようと大統領の予備選でも頑張ったけれど、オバマに負けちゃった。オバマは、健康保険の改善を、とは言っているけれど、国民健康保険の導入にはあまり積極的ではないみたいだね。

つまり、アメリカ国民及び住民は、健康保険を買わなければいけない
義務ではないので実際には「買いたい人は買ってよい」システムだ。
保険会社は当然、利益を最優先する民間企業。その数もそれほど掃いて捨てるほどあって、質もピンキリだ。

小生が持っているブルークロス・ブルーシールズ保険は、車で言えばGMやトヨタのようなメジャー・ブランド。
毎月のプリミアム(支払い)が小生一人だけで200ドル強。2万円くらいだ。
家族全員の分も含めるとなると、支払いだけでも相当な金額に上る。
大企業などにお勤めしている人には、企業が全額あるいは半分以上払ってくれたりするようだけど、自由業はもちろん全額自己負担。

保険の内容を下げる(病気や事故の際の医療費の自己負担分を増やしたり、保険会社がカバーする金額を下げたり)ことで、毎月の支払いも下げられる。そのへんは、個人の判断になってくる。

現実に、家族4人で(日本円にして)7万も8万も保険料を払える家族って、中流以上。
いまだに多くの国民が保険に入れずにいるのがアメリカの現実だ。

特に黒人ミュージシャン達で保険を持っていない者は、実に多い

今回ココのバンドで事故にあった6人のうち、3人が保険に入っていなかった

3人のうち1人は1週間以内に退院できたからよかったけれど、他の2人は様態が安定した頃に、他の施設に移されてしまった

送られた先は、ナーシング・ホーム/リハビリ・センター。ベッドと必要最低限の医療システムがある施設だ。24時間完全看護の総合病院に比べると、部屋もケアの質もずいぶん落ちてしまう。

移された理由は、彼らが保険を持っていないから

看護婦(看護士)が時々見回りに来たりする以外は、特に何かをしてくれるというわけではないそうで、夕食には、乾いたパンにチーズとハムが挟まれたサンドイッチだけだったという話も聞いた。

それでも、彼らには医療費の支払い義務がある。
昨日も書いた様に、保険がなければ何百万という金額を全額負担しなければいけない。

家を持っていれば、売らされるし、車も1台以外は全て持って行かれる。
そのへんの支払いについては、容赦ない。
医療費が払えずに自己破産する人が多いのもアメリカの特徴なんだ。

ただ、アメリカにはメディケイドといって、最低限の生活をしている人には政府が医療費を代わりに払うシステムもあるので、それに適応されれば、支払いが免除されることもあるようだ。これにはかなり厳しい審査があるとも聞いた。

とにかく、保険を持っているかいないかで、受ける医療もずいぶん変わってしまうのがアメリカだ。
人種差別ではなく、経済差別

そういう国なので、旅行に来る人は必ず海外傷害保険は買うようにしよう。