5月、今年も「三級波高魚化龍」
少子化の日本では、一族の命運を背負って科挙に挑むほど追い込まれるような境遇は稀なのかもしれませんが、目標を持って何かに臨めることは幸せなことでもありますね。
対句となる「痴人猶戽夜塘水」何も見えないままただ足掻くのは愚かと言われると、己を振り返りちょっとへこみます。

古来中国では奇数、陰が重なる日を節句として邪気を払う行事を行っていたと以前も書きましたが、5月5日端午の節句に魔除けとして薬や香料を袋に詰めて飾ったのだそうです。

これが伝わったのでしょう、日本書紀によると、611年5月5日 推古天皇が百官を率いて、奈良の菟田野で薬になる草や木、鹿の角などを採取したとあるらしいです。5月5日「薬日」のはじめでしょうか。

平安時代には、5月5日に菖蒲や蓬を束ねたものに麝香(じゃこう)、沈香、丁子(ちょうじ)、竜脳などが入った香袋をつけ5色の糸を垂らした薬玉を作り、9月9日重陽の節句まで御帳にかけたりしていたらしいです。

源氏物語で花散里が贈られてたのも薬玉


東京の根津神社では、月次花御札を授与していますが5月から9月に飾る札として薬玉の札があるようです。素敵💓


5月の札は菖蒲ですね。


今日のお稽古はこの季節の定番、八橋蒔絵のお棗を使います。伊勢物語の東下り三河編より かきつばたの折句

唐衣着つつなりにし妻しあれば はるばるきぬる旅をしぞ思ふ

茶杓の銘に菖蒲太刀なんていかがでしょうかニヤリ
菖蒲は香りが強いので邪気を払う魔除けとしても使われる、菖蒲湯に入る風習もありますね。太刀に見立てるのも邪気払い。「薫風」が使える日は少ないのかもしれません。


あれ?そういえば菖蒲、杜若、あやめの区別がつきません。ちょっと調べてみることに。

結構違いましたびっくり

あやめ 5月上旬 陸地 花びらの付け根が網柄
杜若 5月中旬 水の中 花びらの付け根に白い線
菖蒲 5月〜7月 水辺 花びらの付け根が黄色

尾形光琳 国宝燕子花図屏風 根津美術館