第二話:魅惑の約束、欺かれた信じる心

第一話はこちらです。

 

 

 

 

 

第二話

 

EAの使用を始めた私は、最初は期待に胸を膨らませていた。

 

広告の魅力的な文句が私を誘い、かつての夢が再び蘇るようだった。

 

最初の取引は順調に進み、小さな利益を上げ続けていた。

 

成功が続くことで、私はますますEAに対して信頼を寄せていくことになる。

 

複利の力で徐々に利益は増えていく。

 

 

あの日の自分の決断は正しかったと思った。

 

しかし、それと同時にリスクを考えずに大胆な取引に手を出すようになる。

 

自分もこれで成功者の仲間入り、そんなのんきなことを考えていた。

 

広告で約束された「コロナショックの時に勝っていた唯一のEA」の文言が、

 

私を油断させ、

 

冷静な判断を欠くようになっていたのだ。

 

しかし、次第にEAの動きが予測できなくなり、損失が積み重なっていく。

 

初めての成功による安心感からか、

 

ますます冷静さを欠いてしまった私は、

 

さらに大きな取引に手を出すようになっていた。

 

 

一方で、EAのウェブサイトでは「コミュニティ」の存在が強調され、

 

成功事例や利益を上げたユーザーたちの声が掲載されている。

 

私よりも早くこのEAを使いだした先輩のような方は、

 

「今は市場が悪い」

 

「トータルで見ればプラスになっている」

 

のようなことを発信していて、私はそれを鵜吞みにしていた。

 

しかし、だんだんと損失が積もっていった。

 

私は過去にFX取引をしていた経験から、EAの取引履歴を分析することにした。

 

遅すぎることだ。

 

分析していると取引の回数が多く、でたらめに売買されていたことが分かってきた。

 

不確実なポジションを取らされていたのだ。

 

EAの代理店や開発者は手数料で利益をあげている。

 

取引の回数を増やして、

 

効率よく利益を上げようとしているのだ。

 

最初に利益が出ていたのは、市場の調子の問題で、EAの性能が原因ではない事に気が付いた。

 

市場での取引が不安定な中、

 

EAは不透明なアルゴリズムによって大きな金額の取引を沢山の行わせて利益を上げ、

 

同時に私に損失を押し付けているように感じられた。

 

私が損失に悶える裏で、EAの開発者や代理店は安全圏で利益を得ているのだ。

 

EAの裏でほくそ笑む開発者たちは、

 

私が次第に自己制御を失っていく様子を嬉々として見守っていたのだろう。

 

広告の甘言で私は騙されていたのだ。

 

コミュニティの書き込みを盲信し、

 

損を出し続けてしまった。

 

家族にも取引のことは言っていない、

 

これからどうすればよいのだろうか。

 

広告の甘い言葉にだまされ、

 

無理な取引に手を出してしまった自分を責める一方で、

 

これからのことが案じられた…。

 

 

*連載を予定しています。

 

 更新頻度は早いです。

 

 

 同じ日に三本上がることもあるかもしれません。

 

 

最後に注意をします。

 

全てのEA業者が悪いわけではありません。

 

良質なツールを配布販売しているところも多いです。

 

しかし中には粗悪なものも存在し、それによって被害を受ける方がいらっしゃるということです。