ハムスターの尿路結石について

 まず、尿路結石はその成分によって、シュウ酸カルシウム結石、炭酸カルシウム結石、リン酸アンモニウムマグネシウム結石など、いくつも種類があります。その石の種類によって、形成される過程も異なりますし、原因も異なります。
 ハムスターでは、シュウ酸カルシウム結石が多いとされていますので、これについて説明します。


ハムスターの尿石症の原因として考えられること

・シュウ酸の過剰摂取
 シュウ酸塩代謝は、消化管吸収と内因性生成に由来し、人では約40%がアスコルビン酸代謝により、60%が食事性蛋白に含まれる物質の置換により生じます。このため、シュウ酸の摂取量が増えると尿中のシュウ酸が増えてしまいます。

※人間では、摂取したカルシウムとシュウ酸が腸管内で結合して便中排泄されることが分かっています。カルシウムの摂取が少ないとシュウ酸が腸管より吸収され、最終的に尿中へ排泄され尿路結石の原因になります。

・カルシウム、リンの過剰摂取
 カルシウムは、パラソルモン、カルシトニン、活性型ビタミンD3により恒常性が維持されています。パラソルモンは血中のカルシウム濃度を上げ、リン濃度を下げるホルモンで、カルシトニンは逆の作用を持ちます。カルシウムを腸管から吸収するためには活性型ビタミンD3が必要となります。
血液中のカルシウム濃度が低下するとパラソルモンが分泌され、骨からのカルシウム動員、消化管からのカルシウム吸収が促進され、腎臓からのカルシウム排泄が減少する。血液中のカルシウム濃度の上昇は、パラソルモンの放出を抑制し、カルシトニンの分泌を増加させます。その結果、骨からのカルシウム動員および消化管からのカルシウム吸収は抑制され、腎臓からのカルシウム排泄が促進されます。消化管からの過剰なカルシウム吸収、腎臓でのカルシウム保持能力の低下、骨からのカルシウムクリアランスが増加することで高カルシウム尿症が生じます。

・高たんぱく食
 ハムスター用ジャーキーなどが考えられます。
・高カルシウム、リン
ミルワームなどの昆虫食が考えられます。
・高ナトリウム食
 ハムスター用ビスケットの中にはナトリウム含有量が高いものがあります。
・過剰なシュウ酸の摂取
シュウ酸とカルシウムが結合して結石化
・過剰なビタミンDの摂取
 ビタミンDは、腸管からのカルシウムの吸収を増加させます。

・過剰なビタミンCの摂取
 ビタミンC過剰摂取により、内因性生成に由来するシュウ酸が増加します。

・尿のアルカリ化
 尿が酸性化するとリンの結晶化は起きにくいです。膀胱炎で細菌が繁殖すると、尿がアルカリ化するため結石ができやすいです。また、食欲が低下すると尿は酸性化します。

 (ハムスターは草食に近い雑食動物であるため、正常な尿はpH7.0~8.5のアルカリ性。)

・ビタミンA欠乏
 尿路系の上皮組織が脱落し、これらが結石の核となり形成される可能性が高いです。

・飲水不足

・遺伝



経口摂取したシュウ酸の量は、尿中に排泄されるシュウ酸の量に比例しますが、カルシウムに関しては不明です。ホルモンやビタミンDなどが関わって、複雑にコントロールしていますので、単純にカルシウムをたくさん摂取したから、尿中のカルシウム濃度が増えるとは限りません。人間の医学でも、昔は結石予防にカルシウムの制限が言われていましたが、現在では前述のとおり、適度なカルシウム摂取が推奨されています。
また、余剰カルシウムの尿中排泄が、犬猫が2%以下(大部分は糞便排泄)なのに対して、ウサギやげっ歯類は45~60%が尿中排泄だとされています。このため、人とは異なるかもしれませんが、残念ながら現在の獣医学では解明されておりません。
しかし、結石を予防する上では、カルシウム高含有野菜(モロヘイヤ)、シュウ酸高含有野菜(ほうれん草、アスパラガス、ブロッコリー、キャベツ)などは避けた方がいいと思います。

小松菜やチンゲン菜は、まずハムスターに必要なセンイ質がとれること、ビタミンAが多いこと(結石予防にもなります。)、カルシウムやシュウ酸の含有量が多すぎないこと、水分が取れることなどからおすすめできると思います。大根葉でもいいと思います。大根葉は推奨すべき野菜ですがスーパーで冬場しか手に入らないのがとても残念です。

参考値
カルシウム含有量(mg/100g)
モロヘイヤ260、大根葉220、小松菜150、チンゲン菜120、ほうれん草69、キャベツ43、ブロッコリー33。
シュウ酸含有量(mg/100g)
ほうれん草800、ブロッコリー300、キャベツ300.

※野菜は育つ土壌によって、含有成分が大きく変化することもありますので、資料によって値がかなり異なることもあります。