旧友というわけではなくて、

自分の中で一つの線引きをしてからは、

友人とは呼べない彼がいた。


僕も人のことは言えないが、

彼は僕以上に金にだらしがなく、地元の友人に借金をしては

のらりくらりと返済しないでいたりしていた。


僕はそんな彼に金を貸すのはバカバカしく、

どんなに困っていても貸さないと決めていたそんなある日。


一発逆転のある事業のようなものに手を出して、

彼は多額の借金を背負った。

彼の借金は、今までよりもさらに大きなものになり。


もはや、地元の友人達に借りるくらいでは

事足りない額にまで至ってしまった。


彼は懲りずに電話をかけてきては、

「本当にやばいんだ、他に頼る人いないんだ・・・」

と、泣き言を吐く。


それでも貸さない僕に対し、彼はこう言った。

「友達じゃねーのかよ?本当に冷たい奴だよね」

「こういう時に、人間の本性って出るよな」


その言葉、そっくりそのまま返してやるよ

と心の中で思った。


彼と連絡を取らなくなり、もう5年が経っただろうか。

今日の朝、知らない携帯番号からの着信があった。


電話に出てみると、

「オレだよ、○○だよ、久しぶりだね」

「Kに番号聞いたんだよね」


もう、旧友とは呼べない人間だ。

過去の友達なんだ。

だから、何を話していいかわからなくて。


現在のバイオリズムがあまり上向きじゃないのもあってか、

明らかに大人として間違っている態度を取った。


彼はきっと、気まずくなった過去がひっかかっていて

わざわざ番号を他の友人に聞いてかけてきたのに。

たぶん、嫌な気持ちにさせたかな。


どーでもいいや。

タイミング悪いんだよ!