この先

5年も10年もつけて欲しいという願いを込めて

ちょっと奮発して買ってあげた彼の時計。


とても気に入ってくれて、とても喜んでくれた。

お風呂の時以外は、寝る時もつけてくれてた。





あげたものなのに

「いよいよとなったら返すからね」って ショボーン


その日が来るのが怖かった

永遠に来ないで欲しかったのに

なのに、買ってからたった2年6ヶ月で

はずす日が来るなんて


最期の入院、

お見舞いに行った9/11(亡くなる10日前)にはもう会えない体調になっていて

看護師さんを通じて、この時計と、最期の血液検査の紙が渡された。


「その時が来た」


私は看護師さんが去ってから、涙が抑えきれなかった。


LINEで文章も打てなくなってたから、意志の疎通もできずに

そのまま彼は逝ってしまった。


これは「形見」