『赤い鳥』の朗読復刻を始めました。
これは歴史に対する恩返しです。
『赤い鳥』は、1918(大正7)年に、鈴木三重吉が創刊した童話雑誌です。
この表紙は教科書で見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。
芥川龍之介、島崎藤村、谷崎潤一郎、菊池寛、泉鏡花、小川未明、北原白秋……と、
教科書で一度はその名前を見たことがある
大正時代から昭和初期の文豪が一度は寄稿した伝説の童話雑誌です。
芥川龍之介の『蜘蛛の糸』は、『赤い鳥』の創刊号の為に書き下ろしされたものです。
鈴木三重吉が『赤い鳥』を創刊したきっかけが、
「自分の子供に読ませたい児童文学作品がない」
ということでした。
当時の通俗的な児童文学は、下世話なものが多く、とてもではないが自分の子供に読ませるわけにはいかない
そう思った鈴木三重吉は自ら童話雑誌の創刊を決意したのです。
そして先ほど紹介した明治・大正期の文豪たちが、次々と集結したのです。
しかし現在、『蜘蛛の糸』など、一部の有名な作品は現在でも読み継がれていますが、
ほとんどの作品は埋もれてしまいました。
青空文庫にもない状況です。
それではそれらの作品が埋もれて然るべき作品かというと
そうは思いません。
素晴らしい作品がたくさんあるのです。
歴史に携わる者として、
これをなんとか再び世に蘇らせることはできないかと考えました。
歴史に携わる者の使命とも感じました。
しかも私には
「朗読むすめ」というプラットフォームが存在します。
このプラットフォームを通じて、多くの皆さんにこれらの作品を耳にする機会を提供したいと考えました。
そこで
「朗読むすめ」1周年という節目に
『赤い鳥』を朗読により復興させることにしました。
創刊号は、読者投稿のぞいたほぼすべての作品を
第2号以降は、「後世にぜひとも伝えたい作品」をセレクトしたものをお届けします。
作品のセレクトは、私以外に、
朗読むすめプラスの新メンバーで、東京大学大学院博士課程で涙の研究をなさっている石井るいさん。
そして朗読むすめで、私と一緒に「オペラ抜粋朗読劇」シリーズを立ち上げ、脚本・構成をお願いした、クラシック番組のパーソナリティで声楽家の島田優理子さんにお手伝いいただくことにいたしました。
どこからか予算が出て行っている事業ではありませんので、
コツコツと少しずつ
作品を丁寧に紡いでいこうと考えております。
最初の2作品はこちらです。
泉鏡花 あの紫は(朗読:島田優理子)
北原白秋 雉ぐるま りすりす小栗鼠(朗読:田中なずな、青木めぐ)
まずは詩の朗読になりましたが
もちろん童話の作品もたくさんあります
ぜひともご覧ください