『日本史史料一問一答【完全版】2nd Edition』(東進ブックス)がおかげさまで第8刷を迎えることとなりました。
出版不況に加え18歳人口の減少や大学受験システムの変更などによる学習参考書業界の大恐慌的な状態の中、通常の参考書の初版部数以上の部数の増刷が決まりました。
増刷につきましては皆さんが手に取ってくださった賜物です。
執筆した後は私がいくら頑張っても増刷には貢献できませんので、本当にみなさんのおかげと心より感謝申し上げます。
今回のブログでは『日本史史料一問一答【完全版】2nd Edition』(東進ブックス)の使い方についてお話いたします。
私が意図した事とは異なる使い方をされてる方も多いと聞きますので私の公式見解を述べさせていただきます。
私の参考書の特徴は「こだわりにこだわり抜いているのだけど、そのこだわりがすべてユーザーに伝わっていない」ということだと言われました
ですからそのこだわりについて今回はしっかりと述べていきたいと思います。
本社の構成は「史料」、「通釈」、「判別」、「解説」、「用語」、「要点」の6つから構成されています。
これについては大きなこだわりをもって作っております。
今回は本書のアピールポイントを示して、その上で使い方について説明していきます。
【本日のお品書き】
1.アピールポイント1 「判別」
2.アピールポイント2「史料の要点」
3.本書の使い方
4.史料の学習を初めて行う人の使い方
◆アピールポイント1 「判別」◆
「判別」とは、この史料のこの部分を読むと、この史料が何の史料であるか分かるよというものです。
史料問題で一番厄介なのは、その史料が何について書かれている史料かわからないことです。
何について書かれている史料がわからないので問題を解くこともできません。
しかし例えばこの史料が御成敗式目に関する史料だということが分かれば、自分の持っている御成敗式目の知識と史料に書かれている内容を手がかりに問題を解くことができるわけです。
言い換えるとその史料が何の史料であるか分かった瞬間に、その問題は史料問題から普通の問題にグレードダウンするということなのです。
普通の問題にする時の決め手が、この「判別」です。
この「判別」は史料問題を簡単な問題に変えてしまうカギなのです。
この「判別」を読んで、「この史料は、ここの部分がわかると何の史料かわかるんだ」ということを実感してください。
◆アピールポイント2 「史料の要点」◆
こだわり抜いた割にそのこだわりがいまいち伝わっていないのがこの「史料の要点」です。
これは左ページにある史料の原文が何について書かれているかの要点を現代語でまとめたものです。
今までの史料には現代語訳が付いていました。
本書にも現代語訳はついております。
しかし今の受験生はなかなかこの現代語を読もうという気持ちにはならないようです。
東大や早慶に現役合格した人ですら、「あの現代語訳は読んでいなかった」と言われることが多いです。
ですからその現代語訳の要点をまとめたものを一番最後におきました。
こうすることによってこの史料に何が書かれているのかということが一目で分かるようにしたわけです。
最近の問題では史料の本文が読解できないと解けない問題が多くなってきています。
ですから入試に必要な史料が何について書かれてあるかということを大まかに知ることは非常に有効であると考えます。
そのためこの「史料の要点」というコーナーを設けました。
それでは今から一般的な使い方と、史料の学習を初めて行う形の使い方について述べていきたいと思います。
史料の学習を初めて行う方の使い方は、本書にも記されていないので、是非ともこちらを参考にしてください。
【使い方1 一般的な使い方】
1.「問題」を解く
問題を解く時の注意ですが、最初に何の史料であるか判別しましょう。
何の史料であるか判別できた場合も判別できなかった場合もまずは問題を解いてみてください。
何の史料であるか判別できた人は答え合わせをしましょう。
何の史料であるか判別できなかった人は、右ページのタイトルで何の史料かを確認した上でもう一度問題を解き直してみましょう。
2.答え合わせ→「解説」を読む
答え合わせをしたら解説を読みましょう。
解説には入試に必要のないことは一切書かれていません。
もしここで自分の知らない内容などが出てきたら、授業のノートなどと照らし合わせて確認をしてみると良いでしょう。
3.「判別」と「史料の要点」を読む
ここが一番の成績アップの決め手です。
まずこの史料が何の史料であるかということを判別するための手がかりを、「判別」を読むことによって理解しましょう。
そしてこの史料が何について書かれてあるのかを「史料の要点」を読むことによってつかみましょう。
【使い方2 史料の学習を初めて行う人】
1.「史料のタイトル」を見て、自分が習った内容を思い出す
まずは右ページにある「史料のタイトル」をご覧になってください。
例えばタイトルが「応仁の乱」となっていたら自分が習った「応仁の乱」の内容を思い出してください。
この時に自分の授業のノートの該当ページを開いてみるのも良いかと思います。
2.「解説」を読む
「解説」には、入試に必要のないことは一切書かれていません。
無駄なことは一切書かれていないということです。
言い換えると全てが入試に必要な内容と言えます。
ですからここに書いてある内容で自分が知らない内容があったら、自分が普段使っているノートに書き加えてみるというのも良い方法だと思います。
3.「史料の要点」を読んで、その史料に何が書かれているかを大まかに把握する
自分が習った内容と照らし合わせながら、「史料にはこのようなことが書かれているのだ」と思ってください。
ここはしっかりと学習する必要ありません。
「ふーんこんなこと書いてあるんだ」程度で大丈夫です。
4.「判別」を読む
「判別」と左ページにある史料本文を照らし合わせながら、「この部分を読めばこの史料が、何の史料であるのかわかるのだ」ということを実感してください。
5.問題を解く
ここまでやって初めて問題を解いてください。
問題を解いた後のプロセスは一般的な使い方と同じです。
このような形で本書を使ってください。
何度も述べていますが、その史料が何の史料であるかということが分かれば、それはその瞬間にその問題は史料問題ではなく普通の日本史の問題に変化するのです。
それが「判別」です
またその史料の内容が大まかに何がついて書かれているのかが分かっていれば問題を解くときに非常に楽です。
それが「史料の要点」です。
この二つを武器に効果的な史料学習を行ってください。