『日本史問題集【完全版】』(東進ブックス)が増刷となりました。
第27版です。
増刷に関しましては、私がいくら頑張ってもできないことで、すべて皆様のおかげです。
本当に心より感謝申し上げます。
本書のポリシーを一言で言うと
「日常の学習に使える実践的な入試問題集」です
参考書を担当する編集者が口を揃えて言うこと。
それは「問題集は売れない」ということです。
「問題集をやるぐらいなら一問一答行った方がいい」
「問題集をやるぐらいなら過去問をやったほうがいい」
という受験生の判断で、なかなか受験生は問題集に手を出さないと聞いております。
もちろん知識の確認に一問一答は最強の手段ですし、
いくら問題集が出来たって、自分の受ける大学の過去問が解けなければ意味がないということも事実なので、過去問を早い時期からやるということも間違っていません。
しかし自分の習った内容について、標準的な入試問題を使って、
自分の学習した内容が入試で通用するのか、
自分のやり方は間違っていないのか
ということを確認することは、過去問に入る前の段階として非常に重要なものであると考えます。
例えば東京大学や早稲田大学などの問題を見ても分かるように、
一通り学習を終えてそのまま過去問にチャレンジしても全く手が出ないということが多いです。
これは学習した内容が間違っているわけではなく、
学習した内容をその大学の問題が解けるようにカスタマイズできていないからです。
自分の習った内容を東京大学の問題や早稲田大学の問題が解ける形にカスタマイズしていく必要があるわけです。
しかしいくらその大学に向けてカスタマイズしても、
知識の定着の仕方が間違っていれば、
自分の志望校の問題を解くことはできません。
そこで普段の学習から志望校の過去問にステップアップしていく前の段階として
「標準的な問題が揃った問題集」
というものが必要になってくるわけです。
過去に旺文社さんが『標準問題精講』という問題集を出して大ヒットしました。
これはまさしくその考え方を具現化したものです。
その結果、『標準問題精講』を参考に、様々な問題集が世の中に出てきました。
ただそれらの問題集の問題点としては、自分が習った単元の自分が習った単元に対してそれを入試問題で力試しするということができないことです。
なぜなら入試問題は単元別に並んでいません。
そのため自分がその日に習ったところについて問題集で自分の実力を確認するということが難しいわけです。
本書の発想はそこから生まれました。
この『日本史問題集【完全版】』は全131問から成り立っています。
これは『日本史 B 一問一答【完全版】』の単元数と同じです。
『日本史 B 一問一答【完全版】』の単元に全て対応しているのです。
ですからその日に習った内容について、そのままそれに該当する入試問題を解くことができ るのです。
これには非常に手間がかかりました。
何故なら入試問題はそのように単元別で作られているものではないからです。
むしろ単元が偏らないようにするために、
一つの問題で色々な分野の知識を問うことができるように作られているのが一般的な入試問題だからです。
そのため入試問題を集めるのに相当苦労しましたし、集まった入試問題についてもその単元の内容に合うようにしながら、かつ入試問題の質を落とすことがないように改変していく作業に、もの凄く時間かかりました。
ただそのおかげで、日常の学習に使える実践的な入試問題集というものが出来上がったわけです。
また、これもこちらの『日本史問題集【完全版】』が最初だったのですが、
問題ごとの難易度ではなく、
全ての設問、全ての空欄に対して一つ一つ難易度を示しました。
その結果、
今の段階でどの問題が絶対に解けなければいけないか、
今の段階で解けなくても良い問題はどこか、
今後どのような問題が解ければ良いのか、
という指針が全て明確になり、
非常に学習がしやすいように工夫されています。
これらの気の遠くなるような作業を、膨大に行って作ったのが、『日本史問題集【完全版】』です。
入試問題集と言うと入試問題を切り貼りしたようなものを連想するかもしれませんが、そうではありません。
一つ一つ日常の学習に便利なように丁寧に作り上げたものです。
そのため非常に愛着のあるものです。
ただこのただ最初に言ったように、
学習参考書の編集者さんが一様に口を揃えて言うのが
「問題集は売れない」という言葉です。
実際、本書の企画を提案した際にも、そのような言葉を言われました。
しかしその問題集が売れない理由というのも納得できます。
問題集というものは安易に作ることも可能で、
その辺にある入試問題をただ集めてきて、
そこに適当に解説を書いただけで、問題集は一丁上がりとなります。
そのような粗製乱造した問題集が多く出されているからこそ、問題集が売れないという現実があるのではないのか。
そう考えてものすごく時間をかけて作ったのが本書で、非常に愛着があります。
だからこそ第27版ということがとても嬉しいです。
本当に一生懸命やって良かったなと思っております。