訪問日:2021-07-04,05

 

 

奥湯河原温泉「海石榴(つばき)迎賓館」(1984年開業)は同地の料亭旅館「山翠楼」と同「源氏別館」「桃山第」、別館「海石榴(つばき)」(1978年開業)の中でも最高峰のランクになる贅を尽くした宿泊棟です。
一棟のうちツーフロアに僅か五室、90から200平米の数寄屋造り・全室露天風呂付スイートという贅沢な間取り。


首都圏におけるいわゆる「高級旅館」の奔りで、私が最初に宿泊したのは1987年でしたが、当時から宿泊料の変化がほとんどないのは物価を考えると、バブル前夜とはいえ如何にこちらが飛びぬけた存在であったかがわかります。
しかし時代の変遷とともにさしもの高級旅館も経営が逼迫、2011年には両館とも、北海道を中心にホテル・旅館経営を展開する野口リゾートマネジメントに経営移転となりました。

 

奥湯河原温泉「海石榴(つばき)」

 

玄関

 

上がり口

 

ロビー

 

「迎賓館」へ

 

通路

 

ラウンジ

 

今回の部屋は「春曙紅」と称する110平米三室のお部屋、間取りは踏み込み3畳・本間16畳に床の間4畳・ベッドルーム10畳・控室3畳・周り広縁・露天風呂。
一面のガラスに囲まれた広縁には夏障子がはめられ、左右から奥湯河の新緑が望まれます。

 

「春曙紅」

 

「春曙紅」

 

「春曙紅」

 

「春曙紅」

 

「春曙紅」

 

部屋からの眺め

 

部屋付き露天風呂

 

ベッドルーム(シモンズダブル2台)

 

大浴場は内風呂と、カジカガエルの声を聞きながら奥湯河原の山々を望む露天風呂があります。
泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉46.1度・pH8.4・湧出量50L/毎分。
湯使いは循環・循環放流併用で内風呂のみオーヴァーフローあり、いずれも終日入浴可能。
 

大浴場

 

露天風呂

 

露天風呂

 

湯上りの生ビールと柚子ゼリーのサーヴィス

 

冷蔵庫のドリンクもフリー

 

やはりこちらで最大の楽しみは、一品一品部屋に運ばれてくる夕食です。
経営移転したとはいえ西脇一郎総料理長を始め多くのスタッフはそのまま引き継がれており、「泊まれる料亭」の称号に恥じない内容を楽しむことができます。
食前酒からデザートまでたっぷり二時間かけて堪能させていただきました。
 

樹木がライトアップされる

 

夕食膳

 

食前酒:翡翠・山桃
先付:鱧ざく

 

前菜:    
愛知県産 鰻バラ寿司
愛知県産 芝エビ素揚げ
北海道産 アスパラ酒塩焼き
静岡県産 美味鶏と枝豆のテリーヌ
北海道産 とうもろこし塩蒸し
長野県産 あまご山椒焼き
茨城県産 蓮の実葛煮
静岡県産 ミニトマト西京漬け鬼灯鋳込み
秋田県産 順さい長芋

 

生ビール

 

碗物:神奈川県産 丸吸
すっぽんつみれ

 

向付:
北海道産 つぶ貝 (煎り酒)
相模湾産 あおりいか (生姜酢)
駿河湾産 いさき    (造り醤油)
駿河湾産 ふっこ昆布〆 (煎り酒)
壱岐産  本まぐろ  (造り醤油)
伊豆天城の本山葵を添えて
 

自家製の造り醤油
生姜酢 
煎り酒
 

湯河原「花さがみ」本醸造

 

焼物:丹沢水系 鮎の塩焼 蓼酢

 

酢の物:蛍籠 真鯛と白滝の酢の物

 

温物:相模湾産・揚げ飛び魚の鬼おろし飴

 

強肴:神奈川ブランド・相州牛のたたき
   オニオンソース
北海道産・冷製馬鈴薯摺り流し

 

止碗;山形県産 おかひじきと蕎麦麩の赤出汁
香の物:登別 藤崎わさび園のわさび昆布
自家製香の物:
静岡県産 つるむらさきのナムル
北海道産 ルパープの甘酢漬け
静岡県産 ミニオクラ諸味噌
静岡県産 紫蘇沢庵

 

デザート:
夏のフルーツに湘南ゴールドゼリー
京抹茶冷やしぜんざい 
バニラアイス

 

館内

 

館内

 

表から

 

朝のお茶と口初め::北海道産 トマトジュース

 

朝食も下手な宿の夕食を凌ぐ内容で御飯が進みます。
14時チェックイン・12時チェックアウトとの22時間ステイということで、食後もゆっくりと入浴・転寝が楽しめるのはこうした宿ならでは。

 

朝食膳

 


口取り::
湯河原銀豆腐 白滝真砂和え
沼津産 イカの塩辛
静岡県産 牛肉時雨煮
小田原産 かまぼこ
静岡玉子の薯蕷巻
鹿児島産 絹さや美味塩

向付:駿河湾産 鯛のお造り
 

 

冷物:秋田産  稲庭うどん

小付::長野産 白舞茸と法蓮草のお浸し
ご飯のお供:のぐち北湯沢ファームの大豆を使用した納豆

 

焼物:伊東まるたつの鯵の干物
香の物:紀州南高梅 しらす高菜漬
柚子大根  生姜甘酢漬け
海苔佃煮
ご飯:北海道米ゆめぴりかの釜炊き

 

デザート:クリームチーズヨーグルト
湯河原みかんジュレかけ
 

最初の宿泊から34年、山翠楼を含めて九回目の宿泊ですが、同系統の宿がしのぎを削って多くの老舗がリゾート会社に運営委託・譲渡する時代になりました。
顧客の年齢層と嗜好の変化に如何に対応するかがこれからの宿の課題と思いますが、古くからの温泉宿愛好者として、はこうした正統派の宿が多少形を変えながらも生き残ってほしいと思います。

奥湯河原温泉「海石榴」公式HP
温泉日記索引