4人のハアシュチッエエ・ディネッエ(白い人。白い人が話すビラガアナ語で「聖なる人々」の意。)が昆虫人を取り囲んだ
ビツッイイス・ドオトルッイズ(青い身体)とビツッイイス・リズヒン(黒い身体)がそれぞれ聖なる鹿皮を持ってきた
ビツッイイス・リガイ(白い身体)はトウモロコシの穂を二本持ってきた
1本は黄色で、もう一本は白だった
神々が一枚の鹿皮を頭が西へ向くように気を付けて置いた
その上にトウモロコシを二本、先が東になるように注意して置いた
もう一枚の鹿皮を頭を東に向けて、トウモロコシの上にかけた
白いトウモロコシの下には、黄ワシの羽が置かれた
東からニルチッイ・リガイ(白い風)が二枚の鹿皮の間を通り抜けた
風が吹いている間、聖なる人々は、地面の上に注意して置いた物の周りを、一人一人それぞれ4回ずつ歩いて回った
彼らが歩くと、ワシの羽が、その先が少しばかり二枚の鹿皮の間から突き出ていたのが微かに動いた
聖なる人々が歩き終わると、トウモロコシがなくなり、代わりに一人の男と一人の女がそこに寝ていた
白いトウモロコシは最も古い男の祖先に変身し、黄色いトウモロコシは最も古い女の祖先に変身した
彼らに生命を吹き込んだのは、私たちがこうして生きて、日々の生活に精を出している時、息を与えてくれる全く同じ風
指先の皮膚に生の息吹を与えてくれるあの風の跡をみることができる
このようにして生まれた二人は、アルツエ・ハスティイン(ビラガアナ語で最初の男)とアルツエ・アスジャッア(ビラガアナ語で最初の女)
神々は二人のために小枝や柴で住家を作ってやるよう人々に命じ、アルツエ・ハスティイン(最初の男)とアルツエ・アスジャッア(最初の女)は中に入っていった
聖なる人々は「ここで一緒に住みなさい。夫として、妻として、ここで暮らしなさい」と言い祝福した
4日目の晩にアルツエ・アスジャッア(最初の女)は双子の赤ん坊を産み落とした
その双子はナバホ族でいうところのナドレエエ(ビラガアナ語で両性具有)だった
それから4日目に2番目の双子が生まれた
今後は一方が完全に男であり、もう一方は完全に女であり、4日後にはもう肉体的に大人になり、その後、夫婦として暮らした
また4日経ち、アルツエ・アスジャッア(最初の女)はもう一組の双子を産んだ
この二人も一人は完全に男であり、一人は完全に女であり、4日で大人になり、夫婦として暮らすようになった
アルツエ・ハスティイン(最初の男)とアルツエ・アスジャッア(最初の女)の間には合計5組の双子が生まれた
ナドレエエだけが4日間で大人になった後も夫婦として一緒に住まないと決めた組だった
最後の双子が生まれてから4日して、ハアシュチッエエ・ディネッエ(白い人。ビラガアナ語で聖なる人々。)がやってきて、アルツエ・ハスティイン(最初の男)とアルツエ・アスジャッア(最初の女)を東の山にある自分たちの住みかに連れてゆき、そこに4日間留まらせておいた後、そだで作った家に帰した
あとの双子もハアシュチッエエ・ディネッエにより、順番に連れていかれ、4日間滞在させられた
全員が山から戻ってきてから、時々仮面をつけ始めた
ハアシュチッエエルチッイ(話す神)や家の神、呼ぶ神、ハアシュチッエオガアン(唸る神)が付けるものと似ていた
お面をつけると、良いことや必要なこと(いい頃合いに雨が降る、豊かな収穫を願う)が起こるようにと祈った
彼らは、東の山で大変な秘密(魔女も仮面を持ち近親同士で結婚している)も知ってしまった後、近親相姦を恥じ別れてしまった
彼らは、自分の恥ずべき結婚を秘密にして、再婚していった
男たちは、ハダホニエッディネッエ(蜃気楼人間)と呼ばれる人々の女と結婚し、女たちは、同じ人々の男と結ばれた
アルツエ・アスジャッア(最初の女)は、近親相姦がなくなると思い、自分たちの子どもたちがハダホニエッディネッエ(蜃気楼人間)と結婚したと喜んだと同時に、最初の結婚を彼らが止めにしたのを見て、心配にもなった
結婚は役に立つ制度であり、男女の間で仕事を分け合うのが一番だとアルツエ・アスジャッア(最初の女)は思った
調和が世の中を支配できるように、結婚というしきたりは続かせなければならない
従来は、男にも女にも、姦淫を犯すのはいとも簡単で、女が夫を捨てるのは、あまりにもたやすく、夫が妻を捨てるのも、あまりにも簡単だった
男と女の間には絆があるべきで、それは強いもので、永続しなければならないとアルツエ・アスジャッア(最初の女)は思った
アルツエ・アスジャッア(最初の女)は、男と女に死ぬまで互いに引き付け合う力を持たせればよいと考えた
トルコ石でペニスの形を作り、女の胸から表皮をこすりとり、ユッカの実と混ぜ合わせ、ペニスの中に入れ、ツアジズと名付けた
白い貝でヴァギナの形を作り、赤い貝でできたクリトリスを置き、男の胸から表皮をこすりとり、ユッカの実と混ぜ合わせ、クリトリスの中に入れた
薬草を各種の水と混ぜ合わせ、それをヴァギナの中深くに押し込んだことで、妊娠が行われるようになった(アジョオズ)
アルツエ・アスジャッア(最初の女)は、まずヴァギナを地面に置き、そばにペニスを置いた
口でもって両方に薬を吹きつけ、ペニスに向かってこう言った
「さあ、考えるのよ!あんたの左にあるもののことを」
ペニスは言われた通りにすると、心がはるか遠くまで飛んで行った
続けてヴァギナに向かってこう言った
「あんたも考えてごらん!あんたの右にあるもののことを」
ヴァギナの心も飛んでいったが、その距離はペニスの半分くらいでしかなかった
このようなわけで女性の望みは男性ほど遠くには飛ばない
アルツエ・アスジャッア(最初の女)は二人にこう命じた
「叫ぶのよ!叫びなさい。二人とも。ペニス、あんたの連れがそれを聞いて、グッとくるぐらい叫んでごらんよ。ヴァギナ、ありったけの声で、相手が、あんたの声に触れた、と感じる位に叫ぶのよ」
「もう一度。互いに触れ合って、もう一回叫びなさい。いいかいペニス、相手に思いが通じるぐらい、もう一度叫びなさい。ほらヴァギナも。相手に思いが届くように、もう一度声を上げるのよ」
これで男と女は、お互いを思いやることを学んだ
これで子供を欲しがるようになるだろう
これで仕事を公平に分け合うようになるだろう
これでお互いがしてほしいことを今まで以上に喜んでしてやるようになるだろう
アルツエ・アスジャッア(最初の女)は、男の子も女の子も、ある年齢に達すると、彼女が作ったヴァギナとペニスを、それぞれ与えられなければならないとした
ある日のこと、空が地面に向かって急降下してくるのに、人々は気づいた
一瞬、空と地面はつながり、空は地面に触れ、地面は空に触れた瞬間、コヨーテのマッイイが地面から飛び出し、タヌキのナハシュチッイドも土の中から出てきた
コヨーテのマッイイと、タヌキのナハシュチッイドは、空の子供たちだと信じられている
コヨーテのマッイイは、近くに人が住んでいるのを見つけ、村へやってくると、ちょうど男の子がペニスを、女の子がヴァギナをつけてもらっているところだった
コヨーテのマッイイは自分のあごひげから毛を何本か抜き取り、それを勢いよくプーッと吹き、男の子の股間につけてやりながらこう言った
「これがなくてもいい、悪くはないけど、これをつけると、もっと格好良くなる」
女の子にも同様にしこう言った
「どうだい、こうすると、もっと素敵に見えないかい。嘘だと思うなら、よく見てみろよ」
みんなも同意したが、アルツエ・アスジャッア(最初の女)は、そのために男と女があまりにも簡単にひかれあうのではないかと心配し、すぐに何かを身につけるよう命じ、人前ではきちんと身体を隠すように教えた
それ以来、人々は慎み深く、衣服を着るようになったのだといわれている

