ハーツフィールドのセカンド・システム | AUDIO&DISK LIBRARY

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オーディオや音楽などを中心にアップしています。最近は、愛犬、黒柴犬のスミレの話題も多いです。2019年12月に家内を亡くし、2023年10月にはスミレも18歳2か月で、亡くなりました。家事は、料理、洗濯、掃除など得意です。

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 ハーツフィールドをドライブするシステムは、レビンソンLNP-2バウエン+WE143Cの他に、マランツ7初期+マッキントッシュMI60があります。前者のシステムがピアノや声楽を中心のシステムに対して、後者はヴァイオリンなどの弦楽器と管楽器を鳴らすためのシステムになります。以前にも述べたように、拙宅のマランツ7は、1万番台の初期のモデルで、7の色々な遍歴の後に手元に残った、セブン独特の切れに加えて深いコクのある音質を持ったお気に入りのアンプです。この幾分セブンらしからぬ部分も併せ持つアンプに組合わせるのは、マッキントッシュのMI60というMC60のプロ・バージョンのアンプです。このMI60がMC60と決定的に違うのが、電源トランスと出力トランスが違う点です。これにより、マッキントッシュらしさは少し後退して、ウェスタンに近い音質を併せ持つアンプとなっています。そして、このセブンとの組み合わせが異種独特の艶と切れを生み出すものと考えています。この組み合わせは、後述のオイストラフ/クリュィタンスのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聴くためのシステムといっても過言ではありません。
 今回は、LPレコードとしては、手始めのステレオはムーティ/フィルハーモニアのヴェルディのレクイエム、更にはモノラルとしてデニス・ブレイン/カラヤンのモーツアルトのホルン協奏曲です。ステレオ盤は、ガラード301シルバーにオルトフォンのRF297+SPU-AEで、モノラル盤は、トーレンスTD124ⅡにオルトフォンのRMA301+CA25Diの組み合わせです。オルトフォンのカートリッジの昇圧は、SPU-AEではノイマンBV33、CA-25DiではJS-384を使っています。
 ステレオでムーティ/フィルハーモニアのヴェルディのレクイエムを聴く理由は、同じハーツフィールドでもアンプでどのくらい変化するのかを以前との違いを聴いてみるためです。アンプによる違いは、レビンソン+ウェスタンのシステムではハーツフィールドらしさ中に音の粒立ちに明快感が感じられ、声特にソプラノでの切れと伸びが良いと感じました。一方のマランツ7とマッキントッシュのシステムでは、音場感はそのままに時がゆったりと流れるような豊かさが出てきます。レビンソンのシステムでは声の浸透力と残響の明快さ、マランツ7のシステムでは声質の豊かさと響きの強調の点が特徴と感じました。これは、以前から感じたインプレッションなので、まずは今まで通りの使い分けで良いことが確認できました。そしてモノラルで聴くブレインのホルンの浸透力の素晴らしさは、ハーツフィールドの独特な世界観を管楽器でも聴くことができます。
 次には、本命のオイストラフ/クリュイタンスのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聴く事にしました。この演奏は、1958年録音のステレオ初期のものですが、特に英コロンビア盤SAX2315のオイストラフのヴァイオリンの音は艶やかで、この演奏は正にヴァイオリン演奏の極致と言えるものです。英コロンビアの初期盤とは、SAXナンバーのブルー・シルバーかセミサークルの第2版までをいいます。この演奏を聴くために、ハーツフィールドのドライブに、マランツ7とマッキントッシュのMI60の組み合わせが自分にとってベストと考えています。この盤は、ステレオ盤とモノラル盤がありますが、いずれも名盤で、オイストラフのヴァイオリンの艶やかさが魅力です。ステレオ盤の録音は、幾分ヴァイオリンの定位が左に寄る特徴はやはりあるものの、そのヴァイオリンの艶やかさが身に沁みます。一楽章と三楽章のクライスラーのカデンツァでは、その艶感が素晴らしくて、聴き惚れてしまいました。また、二楽章のラルゲットのゆったりとした独特の音色が艶やかさを持って哀愁を漂わせる響にしばし陶酔する事ができます。これらのステレオ盤での包み込まれるような甘美な音の広がりと豊かで芳醇な音色は素晴らしいです。モノラル盤では、包まれる様な感覚は、後退しますが、ヴァイオリンのボウイングにおける胴鳴りが素晴らしく、三楽章のロンド・アレグロでは、まさしく音像となって艶やかで愁いを持った求心力のある演奏者のボディをも感じさせてくれます。いずれも、この英コロンビアSAXの初期盤の素晴らしさを表現してくれるこの組み合わせです。
 さらに、いくつかのバッハのソロ・ヴァイオリンを聴いてみました。こちらは、CDをソースとして、ソニーのトランスポートにSONYのCDプレイヤーのCDP-X5000、DACはアポジーを使っています。今回聴いたのは、ヒラリー・ハーン、レイチェル・ポッジャー、ジギスバルト・クイケンの3種類です。比較は、シャコンヌのあるパルティータ2番にしました。ハーンは現代楽器ですが、ポッジャーとクイケンは古楽器になります。それぞれの細かい寸評はここでは避けますが、ハーツフィールドから如何にもヴァイオリンらしい豊かな音がします。現代楽器と古楽器で豊かさの質は異なるものの、響きの中から出てくるボウイングの音がそれぞれの楽器の特徴を表しながらも空間に消えてゆく音の佇まいは、ハーツフィールドの特徴が出ていると感じます。
   調子よくシステムを聴いていたら、ここへきて右チャンネルからノイズが出ているのに気がつきました。おそらく、アンプからでしょう。少しチェックの必要がありそうです。