堤防から一段低い河川敷はキレイに整備されていて、子どもたちの野球チームが試合をしていた。
堤防に座り、ぼんやりと、その様子を眺める。
子どもたちに声援を送る保護者たちの姿に、かつての自分の姿を重ねた。
試合は、最終回になり、逆転のさよならホームランが出た。
私の人生にも、こんなホームランが出るといいのにな。
そんなことを思いながら、白球の行方を目で追った。
ホームベースに戻ってきた子どもを、監督らしき男性が満面の笑みで迎え、その子の頭をなでまわしていた。
2つのチームが向かい合い、試合終了の挨拶をした後、子どもたちと監督は、各々のチームを応援していた保護者にも、「ありがとうございました!」と、お礼を述べ、みんな、帰る準備をし始めた。
空には夕焼けが広がっていた。
「親も子も、一日仕事やよな」。
そう思いながら、ゆっくり立ち上がり、スカートについた芝をはたいていたら、河川敷から、堤防へ続く階段を、サヨナラホームランで逆転勝ちしたチームの監督とおぼしき男性が駆け上がってきて、私の前に立ちはだかった。
「人違いだったら、すいません」。
その人は、私の旧姓を口にした。
「あ。」私は、小さな声を上げた。
元カレだった。
この堤防で別れ話しをして、それきりになった人。
彼とは、結婚の話しが出ていた。
彼のご両親に、私は歓迎してもらえた。
でも、私の母が、反対だった。
母は、彼が、私の父と同郷だということが気に入らないと言った。気性の激しい父に、母が振り回されてたのは、幼い頃から目の当たりにしていた。
「あの地方の男性の気質は、ああやねん。随分と苦労させられてきた。あんたも、同じ苦労をするに決まってる。子どものことを心配するから、反対してるねん」と、母は譲らなかった。
地方ごとに、そこで生まれ育った人ならではの気質が全くないとは言えない。だけど、彼と父は違う人間だと、母に何度も言っても、聞く耳を持たなかった。彼に会って、その目で確かめて、と言ったけれど、拒否された。
そんなことがあった数日後、彼と夕食を外で済ませたあと、堤防で、夜風にあたりながら、母に猛反対をくらったことを彼に告げたら、「そっかぁ。おふくろさん、そんなに反対してんのかぁ。じゃあ、結婚して、俺ら、ケンカした時、お前、行くとこないなあ。」と、何食わぬ顔で、彼は言った。
「え?私が家を出ていきたくなるくらいのケンカをする前提なん?」と、聞き返したら、「意見の食い違いなんて、一緒に暮らしてたら、しょっちゅうやろ」と、彼は一笑した。
「いやいやいや。帰るところがない私を守ってくれるとか、大事にするとかって考えは、あなたにはないの?」
にわか、信じ難いわ、といった口調で返したら、「お前のこと好きやけど、親の反対を押し切ってまでってのはなぁ」なんてことを、言い出した。
目を閉じて、シミュレーションをしてみた。
彼とケンカになる。2人とも感情的だから、大声で罵りあって、、、。
「出ていけ」って言われる。間違いなく。
彼が出ていく確率は低い。
瞼を上げ、彼に向かって、ゆっくりと、一発で納得させてやるという、気合いを込めて言った。
「あんたの私に対する熱量がよく分かった。私、あんたと一緒になっても、幸せになれん。結婚話しはなかったことにしよ。別れよ。ご両親には、あんたから言うといて。」
そう言うと、彼は、「うん。分かった。親には言うとくわ」と、いとも、あっさり承諾した。
こういうのを、「拍子抜け」って言うんやわ、、、。
ひとつ、人生経験、重ねたやん、私、と、心の中でつぶやいた。
「短い間やったけど、ありがとう。」
そう言って、彼の元を去ろうとしたら、左手首を掴まれた。
「何?あ、この指輪、返せって?」
「違う。返してもらっても困るから、そっちでどうとでもして。」
「そう。じゃあ、何?」
「最後に思い出が欲しい」
「思い出?何それ」
〈 今更、思い出作り?めんどくさい 〉
そういう気持ちが顔に出ていたはずなのに、
彼は、何一つ、気づいてなさそうだった。
そして、川向うのネオン街を指さして、こう言った。
「別れる前に、お前のこと、抱きたい。」
・・・
・・・
・・・
「は?バカじゃない?今、さっき、別れ話し、しましたよね?で。別れることにしましたよね?なのに、どうやったら、そんな気、起こるわけ?」
「なんで?お互い、嫌いになって別れるわけじゃないやん?最後に、もう一度、お互いの全部を見て、その時間を噛み締めて終わりにする。あかん?」
そう、真面目な顔で言う彼が、今、この瞬間、世界で一番、鬱陶しい男になった。
「無理」
「どうしても?」
「出来ないものは、出来ない!」
私たちの傍を、犬を連れて通り過ぎた夫婦が振り返るくらいの声の大きさで、言い切った。
「そっか。やっぱ、結婚しないのが正解かもね、俺たち。価値観、違いすぎ」。
そう言うと、彼は、真っ暗闇の堤防に、私を一人残し、さっさと行ってしまった。
>価値観違いすぎ、、、そうとちゃうやろ?
20数年前、そんなやり取りをした男が、今、野球チームのユニフォーム姿で目の前にいる。
「何してんの、こんなとこで」
汗をタオルでぬぐいながら、彼が問いかけた。
「散歩」
「一人で?」
「二人に見える?もし、そうやとしたら、怖いけど」
「相変わらずやな。そういうとこ」
小馬鹿にしたような口調に、若干、カチンときた。
でも、彼は、そんなことお構い無しに、続けた。
「今から、何か予定ある?メシでもどう?あ。この格好のままちゃうから、安心して。車に、着替え、積んである」
着替えを持ってるとかどうとか、そんなこと、どうでもええねん。
時間的に、夕食の時間になるのが、ネック。
こいつのことや。食事の後、「再会の記念に」と、ネオン街に車を進めかねない。
過去が過去だっただけに、十二分にありうる。
「せっかくやけど、よしとく。」
「じゃあ、連絡先交換しようさ。日を改めて、メシ行こうな」
そう言いながら、彼は、スマホをズボンのポケットから取り出した。
「スマホ、持ってへんねん。」
「この時代に?マジか?」。
鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔をしてる彼。
「あんたに連絡先を教えるためのスマホを持ってへんってこと。スマホは、持っとるわ」。
そう言いながら、意地悪な笑みを浮かべて、彼に背を向けて、駅の方向へ足を進めた。
電車待ちをしてる間に、ホームの売店で、カレもあたしも大好きな、みたらし団子屋の列にならんでいたら、カレから、LINEが入った。画像と共に。
「今日の晩ご飯、これー。卵の半熟加減、天才やと思わん?はよ、帰ってきてー」
「うん。卵の茹で加減、天才。もう少ししたら、電車乗る。」
そうリプライしたら、
直ぐに既読がつき、
「どした?何かあったか?」と、返事が来た。
どうして、何かあったって、分かるんやろ?
不思議な能力を持ってるヒトやわ。
カレの作ってくれた夕飯を食べながら、
さっきの出来事を話そう。
何もかも瞬時にお見通しのカレだから、
隠しごとなんて出来ない。
って、
隠し事をする気なんて、サラサラないけど。
・・・っていう妄想をしながら、作りましたっ🤣
>野球は、タイガースが好きです🐯
本日のレシピ
鶏のソテーと茹でブロッコリーの辛子マヨぽん
↓↓↓
材料︰
鶏もも肉 260g
卵 2個
☆ マヨネーズ 好みの量
☆ ポン酢 好みの量
☆ 辛子 好みの量
油 適宜
塩コショウ 適宜
作り方︰
① ゆで卵を作り、1/4等分にカットする
② 鶏肉は一口大に切り、塩コショウし、油をしいたフライパンでじっくり炒める→ボウルに取り出す
③ 冷凍ブロッコリーは茹でて②に加え、☆とよく和えたら、①をトッピングしたら完成
By 秘密の悪女キッチン主宰♡MIKA♡
✱ 妄想レシピ←書籍化希望。それを引っさげて、マツコ・デラックスさんの番組に出るねん。で、マツコさんに、「あんた、ほんとバカねー」って、弄られるねん✌️
強く願えば、必ず叶う。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
「秘密の悪女キッチン」(←命名︰友人)へ、
ようこそ♡
目の前で、美味しい!と言ってくれる人を眺めながら、背中でピースサインをしている・・・。
そんな光景をイメージして、
あたしは、レシピを考え、お料理をしています。
手の込んだお料理で、大好きな人の胃袋を掴むレシピは、他の先生におまかせして(←必要あらば、紹介しますよー)
「超カンタンやん!」
「洗い物、ほとんどないやん」
「この食材に、この味付け?!」
・・・などなどの【ひみつ】を散りばめた、
「手抜き」とも言えなくもない&副菜レシピばかりのあたしのキッチンですが、
あなたも、
大好きな人、大切な人の胃袋を、
このレシピで、鷲掴みにしませんか?(笑)
>ちなみに、鷲掴み実績、あり〼( *´艸`)
*あたしの詳細→http://ameblo.jp/shufu-pennosuke/entry-12255470923.html?frm_id=v.jpameblo&device_id=cfb3c9998dcc416894f33ee95d7c6b90
*レシピ作成、商品企画、雑誌掲載、テレビ出演などの依頼は、
mica.hosoi-s10j☆docomo.ne.jpまで。
(☆を@に変えて下さい。)
お料理ゴト、させて頂きます!
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🌷最近のテレビ出演🌷
・https://youtu.be/L4VZBopMh2I
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