ぁ。ども…おこんばんちわ〜〜今日もお疲れさまですさかにゃ
今日の昔ばなしは
まあ…笑い話ですな
ほんじゃ〜〜
「武士になった魚売り」(初回放送1977年11月12日)
語り(市原悦子)
魚売り(常田富士男)
武家屋敷の主人(市原悦子)
鹿児島県の話です。
https://youtu.be/HRRy_DmzKEc?si=bE5d-aJh6ZHwJw0z
むか〜〜し昔の話じゃったなあ。
ある村に、1人の魚売りがおった。
こうして毎日桶を担いで、町へ魚を売りに行っておったが、まあたいそうのんびりした男で…
いつも、こういう調子じゃった。
ところで、今日もこうして、ある村へ魚を売りに出かけたが…
「あら?」
なんと、道の真ん中に、1人の武士が寝ておった。
「あれ、まあ…お武家様ともあろうお方が…なんという事じゃ?」
呆れた魚売りは、その武士を起こそうとした。
「これこれ、お武家様!もしもし?お武家様!」
そう言って、そっと武士の被っていた笠を取ってみた。
「うわ〜〜強そうな…でも昼間っから、どうしてこんなところに?…もし、お武家様?こりゃこりゃ…こ〜〜りゃ!」
引っ張っても叩いても、一向に起きんかった。
魚売りは、ついおかしくなって笑った。
「ははは…」
すると…
「…うん?」
ふと、武士の腰に挿してある刀に目がいった。
そして、そっと手に持ってみた。
「わあっ…ものすごい…立派な刀じゃなあ……ん?そうだ!」
と言ったかと思うと…
「うん。何もかも、ワシにぴったりじゃあ!ははは…」
なんとまあ、魚売りは武士の衣装を身ぐるみ剥いで、自分が武士になりすまして歩き出した。
こうして魚売りは、すっかり武士になりきったつもりで、気持ちよく武者修行にでも出かけるつもりで歩いていった。
ところが夜になって、すっかり弱ってしもうた。
こんな寂しいところで、野宿もできんし…
「それはそれは…難儀な事でござったの?どうぞ、ごゆるりと休んでいってくだされ」
「いや…はや…何とも、かたじけのう…御座…候…奉りまする…」
「ほっほっほ…何とも、礼儀の正しいお武家様じゃて」
とまあこんな訳で、魚売りはとっておきの部屋へと案内された。
そこには、立派な武器がいっぱい飾ってあって、魚売りは目を見張る思いじゃった。
「これは…一体、どがいにするもんか…のう…」
と、弓を手に取り、試しに矢を放ってみようとした。
ところが、その矢の方向が逆さま…そのまま、後ろ向きに放ってしもうた。
「あっ…しまった!」
飛んでいった矢は、襖を突き破ってしまった。
と、同時に…
「ぎゃあ〜〜〜っ!」
襖の向こうから、何やら叫び声がする。
「なんじゃあっ?」
驚いた魚売りはそっと、その襖を開けて見てみると…
「ゆゆゆ…許してください!もも…もう致しません…もう〜〜やりません!」
「いや何とも、かたじけない事で…今までどうしても捕まえられなかった泥棒を、襖越しに一発で仕留められるとは…」
「いやあ…なに、まあ…あのくらいの事は、簡単な事で…」
「まったく…本当に良いお方に、お泊まり頂いた事で…」
すると、家来が主人に言った。
「ご主人様…明日は、鹿狩りの日でござりまするぞ?この方にも是非、ご参加頂いては?」
「おおっ…それは結構じゃのう!」
「えっ…鹿狩り?まま…待ってくだされ!あっしはその…明日の朝は、浜へ魚を仕入れに…」
「なに?魚を仕入れにじゃと?」
「いや!なに…あのその…あ〜〜…」
「魚が好物ですか?それなら明日、家の者に買いに遣らせれば良い。それより、鹿の肉もなかなか良い味でござるぞ?」
「し…鹿と申すと、あの…角のある…鹿の事で?」
「大丈夫でござる。あなたの腕前なら、一発でござる。それならば明日、よろしくお頼み申したぞ…のう」
さて、こうして次の日、鹿狩りの一行は勇ましく山へと出かけた。
まあ、鹿の一番通りそうな場所に、あの魚売りの武士を置いて、一行は鹿追いにかかったが…
「あ〜〜あ…オラどうしよう?鉄砲の撃ち方なんて知らんし…よし、今だ。逃げちゃおう…」
すると、向こうから声がした。
「お〜〜い!行ったぞ〜〜!」
見ると鹿が1匹、ものすごい勢いで走ってきた。
「うわっ?鹿だっ!」
驚いた魚売りは、慌てて逃げようとした。
ところが…
「きゃあ〜〜〜っ!」
なんと…魚売りの放り出した銃が暴発して、それが偶然、鹿の頭に命中…
鹿はその場に、ひっくり返ってしもうた。
銃声を耳にした一行は、魚売りが鹿を仕留めたと思って、様子を見にやって来た。
「何とも…見事な事よなあ…」
「たった一発で、撃ち倒すとはのう?」
「んだ。だども、不思議じゃなあ…どこにも、弾の跡が見当たらんが…」
「そういえば、傷もないようじゃし…」
そこで魚売りは、澄ました顔で言った。
「し…尻を見よ」
「尻…?」
すると…
「おっ?ほんに…尻に穴が開いておるぞ?」
そして魚売りは、その場を取り繕うように言った。
「それは、尻の一発弾じゃ。口から入った弾が、尻の穴から抜けたんじゃよ。そうすれば、傷があとに残るまい?ははは…」
「なるほど…走ってくる鹿の口を狙って撃ち込み…」
「それで、尻から抜かすとは…さすが、鉄砲撃ちの名人じゃあ!」
「ワシも、初めて見せてもろうたわい」
その夜、武家屋敷では、この鉄砲撃ちの手柄を祝うて、鹿鍋を囲んで大賑わいじゃった。
この家の主人も、家来から話を聞いて大感激…魚売りの武士も、有頂天になっておった。
「まったく…おぬしの腕前には、感心するばかりじゃあ。弓も上手いし、その上に鉄砲撃ちの名人ときた」
「いやまあ…あのくらいの事は…」
「これほどまでの腕前なら、お任せできましょうぞ。ここは是非とも、盗賊の退治をお願いしたいのじゃが…」
「まあ、私ごときでよければ……えっ?なに…盗賊退治ですと?」
「はい、近頃この辺りに現れるようになって…人々を脅しては金品を奪っていくもので、皆もすっかり困っておりましての。どうか是非とも…」
「いやいや!さすがに、と…盗賊は…」
「あなたの腕前なら、盗賊など相手ではありませんでしょう?どうか、お頼み申しまする」
「え〜〜…」
という訳で、魚売りはすっかりその腕前を見込まれて、盗賊退治を頼まれる事となった。
とはいえ、これまでの事は偶然が偶然を呼んで、たまたま事が上手く運んだだけの事…
そろそろ正体がバレてしまうのではと思った魚売りは、次の日の朝、部屋にあった箱を1つ持ち出して、そっと屋敷から逃げ出した。
「やれやれ…盗賊退治なんぞ恐ろしゅうて、できるもんか…」
そうこうしているうちに、山道に入った。
ところが、暫く歩いて行くと…
「おい、こら待て!」
あろう事か、例の噂の盗賊に出くわしてしもうた。
「ひゃあっ…」
魚売りは恐ろしさのあまり、暫く固まっておった。
盗賊は早速、魚売りの持っている箱に目をつけた。
「何か、金目のものが入っていそうな、上等な箱じゃな…おい!その箱をこっちへよこせ!」
「あっ…いや、これは、その…」
「よこせと言うとるんじゃ!」
「いやその…きゃあ〜〜〜っ!」
魚売りが慌てて逃げ出した拍子に、持っていた箱をつい、放り出してしもうた。
その勢いで箱が開いて、中から飛び出して来たのは、なんと手裏剣…
それがたまたま、盗賊の身体中に突き刺さって…
「ぎゃあああっ!」
盗賊は、その場に伸びてしもうた。
ちょうどその時、もぬけの殻の魚売りの後を追っていた武家屋敷の家来たちが、偶然この場所を通りかかった。
そしてこの様子を見て、またまた驚いた。
「いやあ、なんと…このお方は、手裏剣の名手でもあったか…」
「早速帰って、ご主人様に報告じゃ」
とんだ事で、またまた手柄を立ててしもうた。
逃げる訳にもいかず…魚売りはまたまた、武家屋敷へと戻ってきた。
「どうか…いついつまでも、この家へおってくだされ。ワシの家の娘の婿になってくだされ。そうして、家来たちに武術を教えてくだされ…」
「いや、ワシに…武術…」
魚売りが困っていると、そっと部屋の戸が開いて…
その奥には、とても可愛らしい娘が、ニッコリ…
「いやその…武術…を、教えんでいいなら…婿になっても、ええ…」
「ええそれはもう…あなた様がいてくださるだけで心強いので、それで十分でござりまする」
こうして桜の満開の頃、2人は結婚する事になりましたそうな。
魚売りのやる事なす事上手くいって、とうとう本当の武士になりましたそうな。
そうして、またまた何が幸いしたか…
この武家屋敷はいつまでも、裕福に栄えたという事です。
ところで、あの魚売りに身ぐるみ剥がされた、本物の武士はというと…
「魚や〜〜…さかな!魚や〜〜…さかな!」
おしまい。
今回の話は、昔ばなしの中でもかなり初期の話の上にリマスター版もなく、音声と画像が途中で途切れてしまっている箇所があったため(おそらく家庭用ビデオの映像と思われる)、そこら辺は過去の曖昧な記憶を辿りつつ適当に補正させて頂きました🙇♂️
まあ…なんて言いますか
まさに「瓢箪から駒」とは、こーゆー事を言うのかなあ
しかしまあ、何もかもこんなに事が都合よく運ぶもんですかねえ
本物の武士のオチも笑えます「魚や〜〜🐟」って🤣
ちょっと「絵姿女房」の話にも似てるなと思いました
ま…実際は世の中そんな上手く回らんでしょうけど、ひとつ笑い話って事で
現実には、こんな宝くじ当たったみたいな人生はなかなか送れないとは思うけど、地道に生きていてもそれなりの幸せはあるよね
身の丈が一番ええかな
次回は
これも笑い話かな
以上、本日ここまでどす🙇♂️
訪問がアホほど遅れております…毎度ゴメンやす
では〜〜明日もご安全に〜〜
おーきにです〜〜ほなね〜〜