ぁ。ども…おこんばんちわ〜〜今日もお疲れさまですおうし座うし音譜


今日の昔ばなしはにっこり

山の中で「あいつ」に遭遇してしまった牛方さんの話汗うさぎ



ほんじゃ〜〜口笛


「牛方と山んば」(初回放送1976年8月21日)


語り(市原悦子)

牛方(常田富士男)

山んば(市原悦子)


東北地方(新潟県)の話です。

昔あるところに、1人の牛方がいました。

ある時、山里の人たちに頼まれて、海辺の町から干した魚を運ぶ事になりました。

朝早く海辺の町を出たのに、今はもう真昼。

これから山道にかかって、山里に帰り着くのは早くて夕方です。

少しでも早く、頼んだ人たちに荷を届けにゃならんと、牛方は昼飯も抜きで歩き続けました。

干し魚を1本抜いて、歩きながら食っても、誰も文句は言いません。

でもこの牛方は、そういう事はしませんでした。

頼まれた荷は、1つの不足もなしに届ける。

これが、この牛方の心意気だったそうです。

「こんなところで…あいつが出なきゃいいがなあ…」


やがて、道は山道となりました。

千年ケヤキがギチギチと、幹と幹を押し合って道の左右に立ち並んでいて、犬1匹道を逸れる事はできません。

「あいつは…ああいうところさ隠れてるんだ…」



やはり「あいつ」です。

山んばです。

ペコペコに腹を空かした山んばです。

「おら待て!」
「出たか…」
「美味そうな魚っこ積んでるな?オラに1つ、くれろ」
「なんねえ」
「そんな事言わねえで、くれろ」
「なんねえ」
「なんで、なんねえ?」
「人に頼まれた魚っこだで、なんねえ」

「そんなら、べこを食わせろ」
「それも、なんねえ」
「なんで、なんねえ?」
「べこ食われたら、オラ商売が出来ねえ。だから、なんねえ」
「なら、お前を食わせてけろ」
「それも、なんねえ。オラは、オラの大切なオラだでなあ…なんねえ」

山んばを怒らせながら…牛方は、腹の中で何とか助かる道を考えていました。

走って逃げる手は、一番まずい手です。

走る力は、最後にとっておかねばなりません。

「何グズグズしてるでか?魚っこか、べこか、おめえか、どれか食わせろ」
「しょうがねえ…頼んだ人にゃ、すまねえがな…」

牛方は、仕方なく魚を1本、後ろへ放り投げました。

「うわっ?アハハ!」
「1本だけだで、ゆっくり食うてけろや」

山んばは、しゃがんで物を食う事を、牛方は知っていました。

その間に、少しでも先へ行こうという訳です。

でも、魚1本で済むとも思っていませんでした。

山里が見えるところに行くまでに、何本やらねばならないものか…

牛方は、腹の中で考えていました。

「全部、食われるべかな…それでも、まだ足らねえべかな…」


「うめかった!もう1本けろ」

山んばの食い方は、牛方が考えていたよりずっと速いようでした。

1本、また1本…

魚は、次第に残り少なくなっていきます。

そして山里が見えてくる峠は、まだまだ遥か遠いのです。

いやはや…ものすごいばかりの、山んばの食いっぷりです。

これが最後の1本…

もう時を稼ぐ手立ては、他になくなってしまいました。

「美味かった♪もう1本くれ」
「もう見ての通り、1本も魚っこねえだ」
「うるせえ!ガシャガシャ言わねえで、べこかおめえか、どっちか食わせろ!さあ、どっちが食われるか、早く相談ぶって決めるだど。オラ、じきに待ちきれなくなるでよ」

牛方は振り返り、牛と顔を見合わせると…

「すまねえな…」

「ハハハ!そうかそうか…食われるのは、べこの方か?ガハハ!めんこいべこだべ?ハハハ…ケヘヘ♪」

牛方は、どうにもやりきれない気分で、その場を後にしました。

「この分なら、そう遠くは行くめえ?このべこ食ってからでも、追いつけるで…ハハハ」

山んばは、牛方の後ろ姿を目で追いながら呟きました。



さあ、走る時がきました。

今までためておいた力をブルンと振るって、牛方は韋駄天走りに走り始めました。


ところが…


「待〜〜て〜〜!」

なんという事でしょう…

牛1頭あっという間に平らげて、また追いかけてきたのです。


牛方は、心の底から恐ろしくなって、命からがら逃げに逃げました。

「べこは美味かったで、おめえもうめえに違えねえ!」
「オラ、美味くねえ!美味くねえ!」
「いやいや!うめえに違えねえ!」
「美味くねえ!美味くねえど!」
「うめえに違えねえってばさ!観念して、食われろ〜〜れろれろ♪」

山んばは、追い縋ってきます。

逃げる牛方の息が続くか、追いかける山んばの食い気が勝つか?


呆れた山んばです…牛方の着物の切れ端まで、食い始めました。

「あ…?ハハハ!うみゃあうみゃあ♪人間の味がして、うみゃあ♪」

逃げても逃げても山んばは追ってきて、牛方はとうとう丸裸にされてしまいました。

そして、最後のふんどしまで取られそうです。

ふんどしまで取られては男の恥と、牛方は最後の力を振り絞って逃げました。

「は〜〜…は〜〜…」

力尽きた牛方は、道端の木陰にそっと身を隠しました。

山んばは、気づかずに先へ行ってしまいました。

「待〜〜て〜〜い…」

ところが、急に牛方の姿が見えなくなったので、また戻ってきてしまいました。

牛方は、慌てて木の上に登りました。

「おのれ〜〜…この辺りに隠れてるに違いねえ。どこさ隠れた!牛方あっ!」

山んばは、暫くウロウロと探し回っていましたが…

なんと…池の水面に、牛方の姿が映っていたのです。

「いた!いた!」

とうとう見つかってしまいました。

もう逃げる方法はありません。

ところが…

「カエルみてえに、水の中に隠れてただ!この山んばの目を誤魔化す事はできねえぞ!」

山んばは、牛方が水の中にいると思って、池へ飛び込んでいきました。

「助かった…」

牛方は、その隙に木から降りて、そっとその場を離れました。


牛方は、もう一歩も歩けませんでした。

幸い、山んばが追ってくる気配もありません。

どうにか生き延びた。

そう思うと、どっと疲れが出て、立っている事もできなくなりました。


と…折りよく道の傍に、1軒の空き家があるではありませんか。

「よし、あの屋根裏にでも隠れて、一休みするか…」

牛方は、家の中に入ると梯子を上って、屋根裏で暫く過ごす事にしました。

「はあ…よく逃げ延びたもんだ。これも、べこのおかげだ…」

身代わりになってくれた牛の事を思うと、牛方は胸が辛くて辛くて、泣けそうになりました。


すると、下から何やら物音がして、誰かが中へ入ってきました。

なんと、空き家だと思ったのは、山んばの家だったのです。

「いやあ…牛方を食い逃したのは惜しかったども、魚っことべこと、今日は思わねえご馳走にありついたど♪」

山んばがそう言っている様子を見て、牛方は上でガクガク震えていました。

すると、山んばはひとつ、大きなあくびをして…

「さあて、このまま寝るか…それとも、ねずみがおっかねえから、釜の中さ入って寝るか…どっちにすべえかなあ…」

その言葉を聞いて、牛方ははっと気づき、何やら床を探り始めました。

そして、木片を1つ見つけると、それを口にくわえてガリガリと音を立て始めました。

すると下では、急に山んばが怯え始めたのでした。

やはり…

「へっ?ね…ねずみだべか?」

そうです…牛方は、思い出したのです。

山んばは、何よりもねずみを恐れる事を。

これで、兄弟分の牛の仇が討てる…

そう思って、牛方はガリガリとやり続けました。

「ひゃあっ…ねずみだ!おっかねえ…オラ、かじられるよお…」

ねずみにかじられまいと、山んばは大窯の中に潜り込んでしまいました。

今がチャンスです。

心を落ち着けて、仇討ちの支度を始めました。

牛方は、木片をガリガリやり続けながら下へ降り、部屋の隅の石臼を運んで釜の上へ乗せると、山んばが出られないように閉じ込めてしまいました。


暫くすると山んばは、自分が閉じ込めらた事に気づきました。


「誰だ?蓋どけろ!どけてくれ!さ〜〜ては、牛方だな?おのれ〜〜!」


牛方は、薪に火をつけながら、静かに言いました。

「違うだ…ねずみだ。ねずみが、べこの仇を討つだ…」

かまどの火は勢いよく燃えて…

さすがの山んばも逃げるに逃げられず、焼け死んでしまったという事です。

「は…はあ……く……しょん!」

おしまい。



懐かしい話を見つけたので、取り上げてみましたにっこり

この話は、牛方と山んばのやり取りがおもしろくて、ついつい笑い話みたいな錯覚起こしてしまいそうですが汗うさぎ

実は、結構な怖い話かも〜〜滝汗←色んな意味で😅

けど、山んばさん…ちょっと詰めが甘いよね魂が抜ける

自分で弱点バラしちゃうとはね…もしかして、どこかで誰かに聞かれているかもしょんぼりという危機感ゼロやんチーン

ま…力では絶対に勝てないから、知恵でやり込めるとゆー…牛方さんのほうが一枚上手でしたなニコニコ

なんちゅーか…「窮鼠猫を噛むねずみがじ‼️」っていいますかウシシ←ねずみ苦手なだけに…ドラちゃんか🤣

なんか「三枚のお札」とか「ヘンゼルとグレーテル」の話にちょっと似てるなと思いました爆笑


ところで、牛方さん…必死の思いで命拾いしたけど、その後どないなったんやろな無気力
魚全部食べられたし牛さんまで喰われたし…😅

まあ…「命あっての物種」っていいますし、どないか生きていけたかなにっこり

人間「生きてるだけで丸儲け」ってね指差し
魚は…まあ、事情を話せば分かってもらえたと信じましょう😅

訪問が爆裂遅れております…毎度ゴメンやす泣き笑い

では〜〜明日もご安全に〜〜照れ
おーきにです〜〜ほなね〜〜バイバイチュー笑音譜