SLEEPTALKER - シュウの寝言 -13ページ目
 
 
かなり遅れましたが、新年明けましておめでとうございます。
2021年もよろしくお願い致します。
 
と、これだけで終わるのもなんなんで、最近、日本のMMAについて、ちょっとだけ思ったことを書きます。
 
有名なエピソードがあるんです。
アメリカがNBAプレーヤーを投入し「ドリームチーム」を結成してバルセロナ五輪に乗り込んだ時の話です。
ラリー・バードとマジック・ジョンソンとマイケル・ジョーダンとチャールズ・バークレーとパトリック・ユーイングの5選手が、ホテルの部屋に集まったことがあるそうなんです。
当時は、バークレーとユーイングの二人だけ、まだNBAでの優勝経験がありませんでした。
マジックとラリーとジョーダンが持っているチャンピオンシップ・リングを持っていなかったんです。
そしてみんなで雑談しているうちに、マジックとジョーダンの間で「どこがベストのチームか?」「誰がベストのプレイヤーか?」という激しい議論になったらしいんですけど、その時に、ラリーは、バークレーとユーイングの二人に「お前らはリング持ってないからな」と言い、一言も発言させなかったそうなんです。
これがスポーツの世界。
私はそう思うんですよね。
ましてや果し合いに近い格闘技の世界なんですから、全員で仲良く協調路線なんてものは無理だし、それをやっても、果たして全体の競技レベルが上がると思いますか?とも考えてしまうんです。
 
ちなみに、マジックとジョーダンの口論の結末はこうなったそうです。
ジョーダンがめちゃくちゃ怒って「よく聞け。これだけは言うよ、マジック。これだけは言わせてもらうよ、ラリー。もしも引退しないんなら、来年会うたびにけちょんけちょんにしてやる。お前らの会場にいく度にけちょんけちょんにしてやる。今から警告するぞ、引退した方がいい」と言い放ったら、ラリーはマジックを見て「君と俺は昔の選手で、今はマイケル・ジョーダンだな」と言ったそうなんです。
そしてラリーは、この五輪の後に引退を表明したんですよね。
 
これが、勝負をしている者たちの世界だと私は思うんですよね。
 
確かに客を呼ぶ力があるのは凄いです。
一昔前のアメリカのプロレスの世界だと、駆け出しのレスラーは、みんなリック・フレアーのでる大会に出たがったんですよね。
それはフレアーが出ると、やっぱり観客席が埋まるからなんです。
ということは、大会の規模が大きくなる。必然的にギャラも少し上がる。
そして、何よりも多くの人の目に触れる。これがメジャー団体からのオファーにも繋がるかもしれない。
 
ですから元プロレスラーたちとフレアーの話になると、やっぱりフレアーは一目置かれている以上にリスペクトされてるんだな、というのが凄く分かるんです。
けどこれは興行、そしてエンターテイメントの世界の話です。
 
MMAはやや違うと思うんです。
MMAも確かに興行だし、エンターテイメントではあるんですけど、真剣勝負であり競技だというところは大事にしないと、変な方向にみんなのベクトルがふられてしまうこともあるのでは??というのが、なんか最近とても心配になってきました(汗)
余計なお世話だと言われてしまえば、それまでなんですけど(苦笑)
 
政治的な力や社会的腕力、絶大な人気や莫大な金を持っていたとしても、MMAという競技の世界では、あんた、明らかに格下でしょ? というスタンスは絶対に無くしてはいけないと、私は思うんですよね。 
いやいや、けど数字は俺の方が持っているから、という論理の方が常に上をいくのなら、シバター選手の方が、今までRIZINのリングで血と汗を流してきた全ての選手たちよりも上、ということになってしまうんで(汗)
それはないでしょ?と私は思うんですよね。
 
プロモーターからしたら、この興行・エンターテイメント論と、競技論との間でバランスをとっていくのが、とても難しいというのはわかっているんです。 
 
でも………
どうしても日本人UFCチャンピオンが見たい、という思いでこの仕事をしている私からしたら.....
 
2021年、日本のMMA界を見た時に、これはちょっと気になる点かなぁ、と思いました。