田辺聖子さんの著書「上機嫌の才能」を読みました。

この本は“人間の最上の徳は、人に対して上機嫌で接すること”

という田辺聖子さんの持論を中心に、

今までの自身の小説やエッセイから選りすぐりの名言を

集めたものです。



そもそも僕が田辺聖子さんの本に惹かれたのは、

池脇千鶴さんと妻夫木聡さんが主演の映画「ジョゼと虎と魚たち」を

観たのがきっかけでした。

この映画の原作が田辺聖子さんだったのです。

そこから、同タイトルの文庫本を買って読んでみると、

女性らしい可愛らしい感性と、関西人的ユーモアがあって、

とても好きになりました。

特に女性から絶大な支持を受けている著者であるのですが、

女性心理を本当に繊細に描写しています。

彼女の好きな作家がフランスの女性作家、

フランソアーズ・サガンというのも頷けます。

「悲しみよこんにちは」も僕は読んだことがあるのですが、

サガンもすごく女性の心理描写が繊細でした。



今回の本はそんな田辺聖子さんの言葉を集めた名言集で、

今年で84歳になる彼女の豊かな人生経験から語られた言葉が、

16のテーマに沿って集められています。

僕としてはあまり性別にはこだわらずに読んでほしい本だと

思いました。テーマによっては女性向けなところもありますが、

それを男性が理解していても良いと思いますしね。

この本の大部分は人としての生き方や幸せの本質を

教えてくれている本です。



その中から印象的な言葉を3つだけ、

本文より抜粋して以下にご紹介させていただきます。



"まいにちの生活を大事にし、好きな人にかこまれ、

チョコレートを楽しんだり、バラやレースの服を愛したりして、

人生を終わるつもりだ。やさしい心くばりや、ものごとをなるべく

ユーモラスにとって、人をよく思おうとすること、

愛ややさしみを第一に考えない人生なんて、私には考えられない。"



"自分の内なるものを表現することが、

人間の最も大きな望みなんです。

なんで表現したいかというと、それは他の人と分かり合いたいから。

「私こう思うけど、あなたはどうやの?」

「そやな、ワシはちょっと違う」っていう風に。

人間は常に人間を愛し、何より人間の心を愛しています。

だれかとつながりたいという思いは、

ずっと消えることがないでしょう。

だから、永遠に文学はある。あなたのそばに。"



"あるのはいまだけ。現在の充実だけ、ですよ。"



・・・他にもたくさん良い言葉があります。

人生の大先輩からの宝石のような言葉たちのプレゼント。

気持ちを軽くさせてくれる、オススメの本です。