晴れ「名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方」鈴木康之著より。恋の矢

さすが優れたコピーの指導者らしく実にかっこいい表現に出会った感じがする。コピーライターが書いたものは、いかにも突飛な感じのするものも多いが、それはふだん身の回りにあるものをしっかりと観察し表現を練った結果でもだった。

つまり想像力が何よりも大切なようだ。筆者はみんなの気持ちからの発想が何よりも大事だという。みんなに共感を持ってもらうことが前提だった。これを「人と同じことを思い、人と違うことを考えよ」と言っている。このワンセンテンスも実に深い!その例として、養命酒のコピーがあった。

「一年が過ぎるのは早いが、一日はなかなか終わらない・・・・そんな毎日の疲れに」「30分半身浴するくらいなら、30分早く寝たい・・・そんな毎日の冷えに」。前者は疲れた男性向けで、後者は冷え症の女性向けのコピーだった。

読んでみれば当たり前のようだが、それを思いつくまでには何度も推敲しているはず。普通の思いを表現したものだが、自然と納得できる。最後に筆者はメモはたくさんあるといいという。そしてそれは“想像の旅の、気づきの旅のフライトレコーダーです”とも。またまたシャレた表現に出会うことができた。