晴れ「相鉄瓦版」2009.8,9月号より。曇風鈴星

この号の特集は「水と親しむ夏はいかが?」となっていた。ここでは泳ぐ金魚を眺めて涼を感じることについて述べられていた。それは江戸時代に広まったという。実にゆったりとした時間の流れさえ感じられてくる。

最近では一般家庭ではガラスの金魚鉢に入った金魚をみることはほとんどなくなった。ところが、大きな文房具屋で暑中見舞いハガキの絵柄をみると、そこには必ず金魚が描かれている。そんなところにも金魚は夏の風物詩の一つだったという名残りが感じられる。

また以前は地元の夏祭りには、必ず金魚すくいがあったものだが、最近はどうなのだろう。たとえ、いく匹かすくってきたところで、それをきちんとペットとして飼育していくには心構えが必要だろうな。

子どもの頃には自宅でも金魚鉢に金魚を飼っていたこともあった。しかし、それほど長く飼い続けることはなかったよだ。かすかではあるが、金魚売りという人が売り歩いていたことも記憶にはある。実にのどかな時代だった。

ここには東京・本郷で江戸時代の昔から300年以上続く老舗金魚問屋の七代目の女将の話があった。その方によると、金魚が中国から日本へ伝わったのは室町時代で、養殖が始まったのは江戸時代だった。そのころは当然ながらぜいたく品として、一部の上流階級のみで珍重されていたらしい。

その後、養殖方法が確立されると、価格が下がって一般庶民にも広く親しまれるようになったという。昔ながらの夏の風物詩といえばすぐに、浴衣、花火、うちわ、扇子、風鈴や金魚などが思い浮かぶが、エアコンが当たり前で便利な世の中になっても、日本の伝統として次の世紀にもずっと残ってほしいものだな。