雨「相鉄瓦版」2008.12月号より。日本

ふだんの生活ではほとんどふろしきを目にすることも使う機会もない。扇子やうちわ、ぞうりなどとともに実に日本の伝統的アイテムの一つだ。


上記は“ふろしき、はじめてみませんか?”というタイトルで京都和文化研究所「むす美」のアートディレクター山田悦子さんが語っていたなかにあったフレーズ。

ふろしきの語源は漢字にするとわかりやすい。つまり「風呂敷」となって、もともと入浴時に脱衣所に敷いた布の上で身繕いしたり、行き帰りに着替えを包んだものだった。

またもう一つは、かなり昔からある「包むための布」の文化からきたものだ。ここには次のようにあった。「奈良時代には正倉院に納める宝物、平安時代には貴族の装束を包み運ぶ布」だったようだ。

「包みの文化」の歴史はなんと、1200年以上もまえから続いていたのだ。物を大切に扱ってきたこともうかがえる。しかし、今では使い捨ての紙袋が増えたせいか、粗末に扱うことに慣れてしまったようだ。

いずれにしてもふろしきを使うチャンスがほとんどなくなったようにも思える。考えれば、四角い布一枚でいろいろな形のものを包め運べるのは便利なもの。色柄も豊富でその包んだ形や結びも一種のアートにさえ見えてくる。

バッグのなかに一枚忍ばせておいて、預かりものやいただき物の際に、さりげなくサッと取り出して包めたらけっこうカッコいいだろうになぁ~・・・。