ちょっと珍しい表現に出会った気がした。話しているのは松屋社長の秋田正紀氏だった。名詞の世界とは「○○会社○○部○○課」のように自分が所属しているところを意味していた。ここでの名詞はやや名刺にも通じているようだった。また一方、動詞の世界とは「自分は何をするのか」という部分だった。
そこで、まず歴史上の人物を引き合いに出している。坂本竜馬は動詞型の典型だという。日本を変えるために何をしようと考え行動を起こしていたからだった。坂本に比べると、西郷隆盛や桂小五郎はどちらかといえば、名詞の世界にいた人だったようだ。
松屋銀座本店は銀座地区の百貨店では五期連続で売上高首位「銀座一番店」の座についている。これは2001年に120億円を投じて行った創業以来最大規模の全面リニューアルの成果だった。秋田社長は現在まで成功しているのは、プロジェクトメンバーの熱意、愛社精神が強かったことも要因として挙げている。
これも部署という名目にとらわれずに、「お客様のために」どうしたらいいか、という動詞の世界が生かされた結果だと考えているようだ。1958年生まれの若い社長は「規模の大きさという主語に注目するより、大事なのはどんな店をつくるかという述語の部分」だともいう。これもまた深い言葉に思えた次第。
存在感は主語よりもむしろ個性をいかに発揮していけるかの述語の部分にかかっているようだ。何事にもあてはまりそうな比喩でもあるな。たとえば、野球でいえば巨額を投じた大型トレードによるチーム作りよりも、それぞれの選手の役割、特性を十分発揮させたチームを比較してみればわかりやすいかもしれないな。